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エディ・リーダーの『Sings the Songs of Robert Burns』は、国の教育カリキュラムの中で音楽を習わされている学生たちから激しく敬遠されそうなアルバムと思われそうだが、そんなことはない。このフォーク・アルバムは、反抗(ジャコバイトのレベル・ソング)、欲情、悲恋(「Ae Fond Kiss」、そしてたまらなく優しい「My Love Is Like a Red Red Rose」)というテーマを好んで取り上げたスコットランドの国民詩人ロバート・バーンズの作品にもとづいているが、歌っているのは元フェアーグラウンド・アトラクションのヴォーカリストなのだ。詩の内容はいまどきのロックン・ロールとは勝手が違うが、アロウェイ出身の18世紀の「田舎詩人」は、乱痴気騒ぎや女性たちとの破廉恥なじゃれ合いをパンチの効いた語り口で描き出している。かつてジム・モリソンがこの種のテーマに取り組み、それなりの成果を上げたが、バーンズの過激さはモリソン以上だ。詩といえば、バーンズは「Tam O' Shanter」を書き、モリソンは「Death of My Cock」を書いた。何をか言わんやである。
現代のブリティッシュ・フォーク界の一流どころ数名――ジョン・マッカスカー、コリン・リード、ブー・ヒュワディーン、ケイト・ラスビー(ハイランドの風景を郷愁とともに歌った「Wild Mountainside」で息の合ったデュエットを聴かせる)が共演しており、ケヴィン・マックレーの手がけた雄弁なストリングス・アレンジ(演奏はロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団)は、ニック・ドレイクの『Five Leaves Left』と『Bryter layter』でロバート・カービーが示した仕事ぶりに匹敵する。聴いているとバーンズの――それにリーダーの――作品にもっと触れてみたくなるアルバムだ。「Jamie Is My Darling」――性の手ほどきを歌った作品――が女郎小屋の裏で恐る恐る抱かれる少年のおののきを伝えるかと思えば、「John Anderson My Jo」は一生涯にわたる愛を鮮烈に物語って胸を締めつける。親切なことに――イングランドの「悪魔の言葉」を話す者たちのために――リーダーによるライナー・ノーツでは、バーンズのスコットランド方言の分かりにくい部分が簡潔に翻訳されている。またリーダーは、バーンズの卑わいな言葉遣いに少しばかり尻ごみしたことを認めている(「Brose and Butter」では、女性の陰部を意味する乱暴極まりない言葉が省略されている)。というわけで、リーダーが次のロバート・バーンズ・アルバムで腹をくくって「Nine Inch Will Please a Lady」を歌ってくれることを切に望みたい。これほどのアルバムが出来上がった以上、第2弾が登場するのは間違いだろうから。(Kevin Maidment, Amazon.co.uk)