主役キャラクターの人気が先行したイメージがあるためか、あまりその真価は知られていない作品では。
序盤はコミカルなSF学園物、そして訪れる地球の大ピンチに敢然と立ち向かう少年少女・・・。
全編を通すと驚くほどハードで真摯な作品ですが、一見そうは感じられないかも知れません。
リアルなCGを織り交ぜた美しいSF描写、そしてマニアックないやらしさを見せつけずに、さりげなくちりばめられた高度なSF的くすぐり、少女のリリカルな感傷を丁寧に描いた心理描写など、非常に優れ、かつ奥の深いアニメーションに仕上がっています。
全26ではドタバタ的コミカルさが標準的なドラマ構成であり、前半部分は特にややもすれば軽薄な印象を抱かれる懸念もありますが、その合間に、友情であったり、すれ違いや仲直り、ほのかな恋、挫折や鬱屈、寂しさなど、16歳の少女を取り巻くありきたりな事象が当たり前のように、しかし丁寧に語られていきます。
そんな登場人物が、人類の未来と希望を背負って、きたる破滅的脅威に敢然と立ち向かっていく様子は本当に感動します。そして前半と後半、二度にわたって迫る大きなミッション。その前後はまさしくハラハラドキドキ、いっときも目の離せない盛り上がりを見せてくれます。
序盤の、主人公の存在のちっぽけさと、夢の大きさを思えば思うほど感動できる、珠玉のストーリーです。
また、主題歌や挿入歌を歌うangelaの歌唱が作品を大いに盛り上げ、なくてはならない要素になっていると思います。
最後までたのしく見れてさわやかな感動を呼ぶ、充足感いっぱいのSFアニメの傑作です。