Amazonレビュー
アポロ440の4作目となる本作は、これまでで最もレトロなアルバムである。アウスガングの描いたネオ・サイケデリックなイラストからタイトルをとった本作だが、たとえジャケットにジョージ・クリントンの写真がなかったとしても、アシッド・ファンクの影響を受けていることはこれ以上ないくらい明らかだ。
ファーストシングルとなったタイトル曲は、ビートナッツとのコラボレーションで、彼らのボーカルを、ピアノのループ、TB303系のぶよぶよしたベースライン、カルロス・サンタナを思わせるギターがごった返すサウンドに乗せている。そんな組み合わせではとっちらかった音にしかならないように思えるが、長年のあいだに各段の進歩を遂げたアポロ440の驚くほど巧みなプロダクション能力でまとめら上げられている。ライトニン・ロッドをフィーチャーした「Hustler Groove」は、ロッドがクール&ザ・ギャングと共演した先駆的アルバム『Hustler's Convention』に敬意を表しているが、そのサウンドは、古典的なボーカルをのぞいて、前述のタイトル曲や本作の大半のトラックと大差ない。
本作には、1990年中頃以来アポロ440がファンを喜ばせてきた重要な要素がすべてそろっている。しかし、ビッグビートのスタイルをさらにエキサイティングな異なるサウンドに発展させたのではなく、ローフィディリティー・オールスターズと同じように、これまでのサウンドを上品に仕上げただけであって、良く言えば、懐かしさを繰り返し感じさせ、悪く言えば、ぐらぐら揺れる不安定なコーヒーテーブルの脚の下にはさむのにうってつけである。(David Trueman, Amazon.co.uk)