開始早々、さっぱり訳が解りません。組織間での勢力争いが絶えない場末の街で、ふらりと訪れた男が何かを探り始める、賭けボクサーの少年が手酷い制裁を受けてのたうち回る、それらを見守るかのごとく気が付くと傍らに佇む狐面の少女、、そんなストーリーとも言えないようなストーリーが、ゆっくりとした展開で数話に渡って続きます。
展開のわかり易さが重視される現状においては、このような作品の企画が通るとはとても思えません。
しかし、それでいて、設定や世界観はしっかりと考えられていて、それが作品の深みに繋がっています。
そこが、パッと見のわかり易さがあれば、ガバ設定でも良しというような、最近の作品との大きな違いでしょうか。
単純に抗争モノかと思って観ていると、どうやら衰退した未来世界を背景とする、ディストピアであることが次第に判ってきます。
そして、その衰退を誰も止めることができず、人間の持つ根源的な業の深さによって、争い、滅びていく。
スッキリ感とは真逆の、まるで救われない物語なのですが、何故か目が離せなくなり、滅びの過程に寄り添うように視聴する、、という感じで観終わりました。
知名度の高い作品ではありませんが、一見の価値はあると思います。