「もらい泣き」「大家」の音楽イメージで買うと、いい意味で大きく裏切られるタイトル。
今までのシングルの曲調とは一転してポップなR&Bテイストだが、彼女独自の言葉の選び方、リズムの踏み方の妙は変わらず完成度が高い。
アレンジは評価が分かれるところであるが、ありがちなR&Bに陥らず、なんともいえない、どこか猥雑でセクシュアルなアジアの「お祭り」の雰囲気が良く出ている。今までの「さらさら流れる」様な曲とは違い、どこか濃厚な空気が漂う、明るい部屋よりはどこか薄暗い街角などで聴くのが似合いそうな曲。
「なんもない」はついクスリと笑ってしまいながらも、ふと身につまされて考えてしまう「リアル」な詞の世界が秀逸。
「今日わずらい」は他二曲とは違い、柔らかなストリン!グスで聴かせるが、詞の世界とメロディラインがどこか不安感をかき立てる。
このシングルを一言で言うなら、反アジアであり、汎アジア。
色々な顔を持ち、文化や慣習の違いも笑って受け入れるような懐の広さがある。
「今までのシングルと違う」と毛嫌いせずに聴いてみる事をお奨めする。