1976年発売当時、メイナード・ファーガソンの「ロッキーのテーマ」を聴いては元気をだしていたという思い出の曲です。
あれから30年の月日が流れました。その後、3曲目の「スター・トレックのテーマ」はクイズ番組のテーマに使われましたので広く知られるようになりました。
テノール歌手が高音を響かせて歌う姿に観客皆が聞き惚れるように、トランペットの超高音というのも人を感動させます。ファーガソンの高音域への挑戦は、未知の可能性にのぞむ挑戦者のように輝いていました。
冒頭の「ロッキーのテーマ」を久しぶりに聴くと、映画でのロッキーの姿となぜかファーガソンの吹いている姿を思い出してしまいます。果敢に超高音へ挑戦するのはある種のスポーツのような爽やかさをもたらすのかもしれません。
昔「チェイス」というグループがいました。4本のトランペットによるハイノートの掛け合いで「黒い炎」という曲を演奏して一世を風靡したことがあります。ファーガソンはその師匠格ともいうべき存在で、トランペッターの憧れでした。艶やかで張りがあり輝かしい彼の音を真似したいということで、ファーガソン・モデルというマウスピースが発売されているくらいですから。
2006年、惜しくも78才で鬼籍に入られたわけですが、この48才当時の輝かしいばかりの演奏は永遠に聴く人の心を捉えることでしょう。アド・リヴも斬新ですし、艶やかで張りがある彼の輝かしい音は真似できない境地にありました。なにしろ、それから相当な歳月が経過しても彼を凌駕するトランペッターが登場しないところに彼の到達した高みが理解できると思います。
21世紀にも聴き継いでほしい音楽ですし、忘れてほしくないトランペッターです。