5分間しか記憶を留めておけない男。それだけ聞くと『メメント』の主人公を連想させるが、本作はサスペンスではなく、あくまでも自己発見の物語だ。「5分間の記憶」という病状についても、劇中で詳しく説明されるわけではなく、周囲の人物の行動も不可解。あえて観客に説明を拒否するような展開なのだが、そこに、この映画のおもしろさ、そして共感できる部分があることも事実だ。だれにとっても記憶なんて曖昧なもの。先入観を持たず、新たな発見を繰り返す主人公の姿は、うらやましく感じられたり、自分と重なる部分が見えたりもする。ちなみにタイトルの「ノボ」は「新しい人間」という意味。 本作には、過剰なほど多くのラブシーンが登場する。記憶を失うおかげ(?)で、2度目のセックスも新鮮、というのも妙に納得。妻も息子もいる主人公が、会社の上司や、新入社員の女性との濃厚な愛に溺れていく姿からは、エロティックな空気よりも、本能的な愛が伝わってくる。愛が主人公の再生を助けるのだ。スペイン人俳優のエドワルド・ノリエガがセクシーさと無垢という両面の魅力を発揮し、ヒロインのアナ・ムグラリス(シャネルの新ミューズ)は、そのたたずまいが美しい。(斉藤博昭)
監督: ジャン=ピエール・リモザン 共同脚本: クリストフ・オノレ 音響編集: フランソワ・ミュジー 出演: アナ・ムグラリス/エドゥアルド・ノリエガ/パズ・ベガ/ナタリー・リシャール/エリック・カラヴァカ -- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
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