メディア掲載レビューほか
バービーボーイズの復活や3年ぶりのシングル、福耳での活動など話題も豊富な杏子。エモーショナルなバラードからエネルギッシュなロック・ナンバーまで、バラエティ豊かな楽曲が並んでいる。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
マーティン・デニーを彷彿とさせるモンド風イントロで始まる「シンガプーラ」は76年の加藤和彦&安井かずみの名曲。かと思えば、ガロのデビュー曲「たんぽぽ」(71年)が収録されていて、ミドル・エイジ以上にとっては、懐かしい選曲が嬉しい。とはいっても、冒頭の「口いっぱいの愛を」は、挑発的なギターのリフで始まり、これぞロックというサウンドが炸裂する。このアクの強いバックに一歩も引けを取らない杏子のヴォーカルが冴えている。元バービーボーイズという冠とは、とうの昔に決別している彼女のヴォーカルが、さらに凄みを増したことを実感する。正直、バービー時代のヴォーカルはバービーらしさを求められたきらいがあって、没個性の杏子だったが、ソロになって他流試合(福耳ほか)にもまれる中で、自分らしさがいい方向に結実しつつある。40代以上にも十分説得力あるエモーショナルで力強いサウンドのディテールの一つ一つに、70年代のあれやこれやの音がちりばめられて、思わずニンマリした。 (小林泰介) --- 2003年09月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)