Amazonレビュー
2002年の『Verve Remixed』の続編である本作は、オリジナルの制作方針を受け継ぎ、発展させている。すなわち、数々の伝説を持つヴァーヴ・レコードの保管庫から引っ張り出してきた音源を、現代のトップDJに料理させているのだ。
ミゲル・ミグス、クープ、フィラ・ブラジリアスというダンス・ミュージック界のそうそうたる面々をフィーチャーした本作のミソは、DJとジャズ・スタンダードを対決させつつ、その両方に敬意を払おうとしていること。軽々しく扱うわけにいかない名曲ぞろいであることを考えれば、これはなかなかの難問だ。ゴタン・プロジェクトは、サラ・ヴォーンの「Whatever Lola Wants」で、この課題に見事応えている。好色な悪だくみを歌ったこの曲から、素朴でロマンティックなアコーディオンを抽出してみせたのだ。
一方、奇抜な着想を要求された者もいる。モンド・グロッソなどは、アーチー・シェップの「Blues For Brother George Jackson」のメイン・メロディーだけを使って目の詰まったトラックを作り出すという手に打って出た。また、時には下手な小細工をしないことが最良の結果を生む。「Do What You Wanna」のミスター・スクラフによるソウル・パーティー・ミックスは、ラムゼイ・ルイスの素晴らしいキーボード・ソロのバックにパーティーの雑音を加えただけというものだ。
本作のすべてが成功しているわけではないが、原曲とDJの相性がいいトラックは、最高のダンス・ミュージックにしかできないことを達成している――ジャンルの壁を壊し、我々皆を躍らせてくれるのだ。(Matthew Cooke, Amazon.com)