デジタル・リマスター盤。
歌詞のテーマは、父親の死後を生きること、でしょう。
音楽的には、ジャズ、ロック、ワールド・ミュージックというより、日本盤解説でも触れられていますが、イングランド北東部/ノーサンブリアン寄りの音作りと言えるでしょうね。
ぼくも各楽器の入っている箇所をちゃんと意識して聞き分けているわけではありません。でも、ブックレットのクレジットを見て、ノーサンブリアン・パイプ、オーボエ、マンダリンという文字が並んでいるのを確認すると、たしかに納得させられるものがあります。ほのかな明るさと暗さとを帯び、ゆったりとしたスティングの歌唱、演奏、編曲。それは、きっと、“北の寒い山々を生き抜く精神的で野生的な力”を象徴しているのでしょう。
ちなみに、ベスト盤に選曲候補にあがるような曲は、トラック2、3ぐらい。それでも、相変わらず大人指向のスティングの音楽、そしてアルバム全体を貫く“精神的で野生的な力”の統一感には、聴き込むほどに抗い難く引き寄せられるものがあります。トラック8あたりは、静かに熱いミディアム・テンポのロック・ナンバー。スティング・ファン以外だとU2ファン――ぼくはスティング・ファンでもU2ファンでもあります――はたぶん気に入ると思います。地味だけどグッド・ミュージック!!
エンハンスド・ヴィデオの「オール・ディス・タイム」ではコミカルな映像、コミカルなスティングの姿を見ることができます。日本盤解説は1991年リリース時のまま。