「フリークス」を観たかどうかがこの作品の印象に影響を与えるか? これは少なからずある気がします。ハンスの傷ついた自尊心が復讐を決意する時、仲間のフリークス達が持つ「人間の尊厳」を守る意志へと伝播する瞬間が脳裏に浮かぶ「小人のハンス」、祝宴のシーンで繰り返される台詞でもあるONE OF USは映画を観た方がイメージが広がるのは確かだからです。巻頭曲、「小人のハンス」、「匂い」にて典型的な肉声からシンセサイザーに代表される電子サウンドに切り替わる時の、視界が一気に開ける流れが爽快なのは、作品を貫く巻上さんの太く個性的な歌声の強靱さがあればこそと聴くほどに感じられます。木琴のフィーチャーされた最終曲で畳み込まれる「クンクンクン ここほれワンワンワン」、少し前にあった政治屋様方のニュース映像に流したらさぞかしピッタリだろうと聴いています。文句なしの名盤。