Amazonレビュー
若手バンドの成長を見守る何よりの楽しみのひとつは、バンドが自らが影響を受けた音楽を消化して、独自の音楽を発展させるその過程にある。けれどもバンドが、影響を受けた音楽をおおっぴらに見せつけたらどうなるだろうか?
現にオレンジャーは、ゾンビーズや、ザ・フー、T.レックス、ビーチ・ボーイズといったバンドのさまざまなサウンドを拝借することで、そうしたバンドへの大いなる愛着を広言している。だが皮肉にも、サンフランシスコを拠点に活動するこの4人組が、心の中のポップスの悪魔のささやきに負ければ負けるほど、独創性にこだわることやハードロックに徹することをやめればやめるほど、そのサウンドは聴きごたえが増しているのだ。
前作のサウンドは単に興味深いだけだったが、本作では、60年代にインスパイアされた現代風インディーズ・ロックによる、丹念に仕上げられたムードあふれる第一級のサウンドを聴かせてくれる。ボーナスCD(初回盤のみに付属)には、1998年以降のレア・トラックが満載されている。ビューラーや、スーパーチャンク、エルフパワー、スプーンのファンなら、きっと本作が気に入るはずだ。(Mike McGonigal, Amazon.com)