Amazonレビュー
マーティン・スコセッシがプロデュースしたブルースについてのシリーズ映画がPBSで放送されてからというもの、ほとんどすべてのレーベルがブームに便乗しようと倉庫をひっかき回している。すでに何十ものリイシューやリパッケージが出回っているが、長年にわたってクラシック・ブルースをリリースしているラウンダー・レーベルが贈るこの素晴らしい2枚組セットこそ、この分野の真打ちと言うべきものだ。
本作は、ジョン&アラン・ロマックスが1935年から1978年にかけて現地録音したトラックで構成されており、視野の深さだけを取っても大変な作品と言える。演奏者の多くは熱烈なブルース・ファンにもなじみの薄い人たちだ。だが2時間半近い演奏タイムには、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、ブラインド・ウィリー・マクテル、サン・ハウス、レッドベリー、ミシシッピ・フレッド・マクダウェルといった大物もところどころ顔を出す。音質はきわめて良好なものから粗いものまでさまざまだが、いずれも驚異的なリマスタリングによって問題なく聴けるようになった。これらの生々しく、純粋で、心おどらせる調べは、音楽だけが生きがいだった普通の人たちの激しい情熱が生み出したものだ。彼らの歌声や演奏からは、信じられないほど過酷だった人生がうかがえる。
このコレクションはスタイリッシュで、ミステリアスで、茶目っ気もたっぷり。これらすべての要素を一度に感じさせる部分すらある。40ページのブックレットには歴史の詳細と曲目解説を掲載。また、ケイジャンや教会音楽も視野に入れている。すでにブルース・ファンと呼べる人たちがこのジャンルのルーツをさらに探るには最高の内容だろう。(Hal Horowitz, Amazon.com)