音楽ファンは誰でも、彼のアルバムを聴いてツッコミを入れる。
「んなアホな、なんでファンクナンバーばっかりじゃないんや!」
ハードなファンクナンバーに紛れて、必ず甘甘のバラードまで聴かされるハメに遭う。Ain’t it funky now の後のGeorgia on my mind 、Sex machineの後のtry me、get it up or turn it a loose の後のit’s a man’s man’s man’sworldなど、応用パターンは無限。まるで拷問である。イカせて、濡らして、イカせて、濡らして。ひたすらこの繰り返しなんだな、ライブはその特性上、「JB式キョーフの愛の儀式臭」がより濃厚に漂う。
言ってみれば、ハードなファンクナンバーの後のそれは、箸休めなんだな。もしくはごった煮鍋の中の野菜だ、より肉の味が引き立つ。さっきはハードに攻めてごめんね、でもこんな一面もあるんだよと見せかけ愛撫に誘う。ライブでのブーツィーも「ああ、またやってるぅ」と、お約束バラードじゃウンザリしながらベース弾いてたに違いない。
このDVD,自伝の映像版である。自伝に出てくる名エピソードや関係者のインタビューを挟み、後期のライブ映像を細切れにして駆け足でJBヒストリーを見せる。見納めになったJBが、豪華リムジーンからホントに最期になったオレ節を吼える。この時のカミさん?がJBの年齢の半分くらいの白人だったり、孫のような子供がいたり萎える場面も多々あるが、そこはひとつ・・・。リハーサルやライブやインタビューの完全版が特典映像だったりして、ディランの「ノー・ディレクション・ホーム」のJB版と呼んでもいい。
インタビューではJBの女たちが抜群に面白い。別れても愛される男の度量が試されている。
また「奴はすべてオレのマネだった」と公言して憚らないリトル・リチャードのブットビ具合が最高だ。彼の履いているキンキラ・シューズには、ロックの全てがある。
ライブでは60,70年初期の貴重映像をもう少し入れて欲しかったが、贅沢は言うまい。
今後はアップグレード版も登場しそうだが、今はこれで我慢。
買うなら、字幕付きの日本版。老齢JBは聴き取り不能、字幕有りならツッコミ所満載。
ドサ回りで鍛えに鍛えられたハコバン・ファンクの極みがここにある。