元々は後に「DVD」となる素材の発掘作業中にたまたま見つかった音源をジミー・ペイジが気に入ったので、「DVD」と併せて公に出した方がファンも喜ぶでしょう、という事で発売されたCDだったと記憶しています。本作はそのリマスター版ですね。
ペイジによると、音源収録当時、バンドはなぜか西海岸方面でライブをすると、良いパフォーマンスができたらしく、気に入った理由もそこが大きいらしいです。
タイトルの”West was won”もそれが由来だったとのことです。
ちなみに、ペイジは元々即興時のアイデアを保存する等の目的でライブの音源を記録する場合も多く、それらを倉庫みたいな場所にストックしていたらしいです。
さて、本作への批評ですが、とにかく凄いの一言に尽きますね。
スタジオ盤では割とこじんまりしていたんだな、と感じさせられる曲も多いです。
ハードロックとエナジーと熱狂と緊張感を叩きつけられるイメージとでも言いましょうか、音質が良いのも相まって、ロックが嫌いな方以外はなんとなくでも凄みを感じられるかと思います。
CD3枚組ですが、1枚1枚の内容が恐ろしく濃い。
1枚目は有名曲と演奏力、2枚目はジョン・ボーナムのドラムと即興、3枚目はギターのかっこよさと即興、それぞれ特色もあって構成も上手いです。
聴いていて個人的に少し驚いたのは2枚目のボンゾ(ジョン・ボーナムの愛称)のドラムで泣けてきたこと。
私が初めてLed Zeppelinのアルバムを買ったのはもう20年程前になりますが、その当時、アルバムの凄さに感動して、何度も聴いて、他のアルバムも色々聴いて、でも最近はそんなに聴いていなかったなぁ、という感じだったので、もちろん懐古趣味や喪失感でもあったのでしょうが、何より一音一音のエナジーが泣けた理由だったと思います。
割とよく言われている(らしい)ことなのですが、ボンゾのドラムはたまにリズムがよれたりするし、ソロもキース・ムーンやコージー・パウエルに比べれば、地味ではあるので、どこか感動し過ぎてはいけないみたいな先入観や偏見が勝手にあったのでしょうね。
結局大事なのは、音を聴いてどう感じるか、なのだと思い知らされました。視覚的な情報に振り回される必要も無いのだと。
もちろんロバート・プラントもジョン・ポール・ジョーンズも素晴らしいパフォーマンスで、隙が無いです。
ロック好きな方でも賛否ありそうなのは即興部分ですかね。
長いっちゃあ長いので。ただ、ファンや楽器演奏する人からすると、そこがむしろ最重要な部分だったりもするので、なんとも言えない所ですね。
難点は値段がそれなりに高い事と、3枚組なのでディスク交換が面倒な事(主に2枚目3枚目が顕著)、選曲は割とベタで曲数自体はそれほどでもないかなという事、ぐらいですかね。
色々書きましたが、レビュータイトル通り”御託はいらねぇ、黙って聴け”と言いたくなるくらいの名盤です。