「ボッカチオ'70」は、「デカメロン」の作家ボッカチオが現代に生きていたならば、どのような作品になっただろう
と想像を膨らませ4人の巨匠によりオムニバス形式で描かれた作品です。
そもそも、ボッカチオの「デカメロン」は、1348年に大流行したペストを避け10日間に渡り家に逃れて閉じこもった
10人が退屈しのぎに毎日一人10話ずつ様々なテーマで語った100話の物語ですが、この映画も「デカメロン」に習って
4話構成となっています。
マリオ・モニチェリ監督の第1話「レンツォとルチアーナ」では、結婚したために結婚退職制と恋愛禁止の社内規程
や繰り返されるセクハラ、パワハラに反発して退職するハメに陥った居場所の無い若夫婦の日常を描いています。
新居と家具を獲得するために、夜警となった夫と昼間に働く妻が逢えるのは、妻が出かける時間に入れ替わり帰宅す
る夫、夫が夕方に目覚め出かける時に帰宅する妻とのすれ違う時間だけの悲しい物語。
この映画の最大の見所は何と言ってもこの第1話のルチアーノ役のキュートなマリサ・ソリナスでしょう。
イザベル・アジャーニも真っ青な彼女、この際、クリスティーネ・カウフマンから宗旨替えしてしまおうかなと思わ
せるほどの魅力に溢れています。
フェデリコ・フェリーニ監督の第2話「アントニオ博士の誘惑」では、アニタ・エクバーグが描かれた巨大看板が登場
します。
この辺りは1959年公開の「甘い生活」の退廃的なローマ社会の描写やストーリーの随所に配置されるシンボル、
1963年公開の「81/2」での巨大オブジェによるシンボル的映像表現で独特の映像感覚を見せますが、「ボッカチオ
70」でも象徴的な巨大看板と禁欲的な視点で退廃的事象を追及する、フェリーニ自身の化身のようなアントニオ博士が
登場します。
そして、もう一つの見所がルキノ・ヴィスコンティ監督の第3話「仕事中」に登場する子猫達がとにかく可愛い。
特に白い子猫のゴッホちゃんに見つめられたら、もう、メロメロになりそうです。
プーペ役のロミー・シュナイダーも子猫達には喰われっぱなしですが、娼婦になることを決意した瞬間からの可愛い
女へと変身する演技は流石大女優と唸ってしまいますが、第3話ラストでクローズアップされる口元だけで表現するプ
ロの演技には唸ってしまいます。
ヴィットリオ・デ・シーカ監督の第4話「くじ引き」で見せるソフィア・ローレンの貫禄ある痛快な演技は彼女の
一、二を争う作品とも言えるもので、これぞイタリア式コメディ!と快哉したくなります。
当たりくじの68番を引いたアルフィオ・ヴィータ演じる墓掘り人足クスペットのおとぼけ演技も最高です。
映画内でアルフィオ・ヴィータが登場した時、最近、TV番組に出演するようになった近代国文学研究者のロバート・
キャンベル東大教授(現・国文学研究資料館長)に酷似していて驚いてしまいました。
イタリア喜劇が凝縮されたこの映画、「あゝ結婚」や「昨日・今日・明日」と共に必見の映画です。
ボッカチオ’70 [DVD]
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購入オプションとあわせ買い
フォーマット | 色, ワイドスクリーン |
コントリビュータ | ヴィットリオ・デ・シーカ, トゥリオ・ピネッリ, フェデリコ・フェリーニ, ロミー・シュナイダー, マリオ・モニチェリ, ソフィア・ローレン, トーマス・ミリアン, ジュゼッペ・ロトゥンノ, アニタ・エクバーグ, マリサ・ソリナス, カルロ・ポンティ, アルマンド・トロヴァヨーリ, ルキノ・ヴィスコンティ 表示を増やす |
言語 | イタリア語 |
稼働時間 | 3 時間 32 分 |
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商品の説明
Amazonより
エロチック・ファルス話集「デカメロン」を書いた14世紀のイタリアの作家ボッカチオなら、現代の風景をこんなふうに料理したかもしれない、という発想で撮られた4編のオムニバス映画。
マリオ・モニチェッリ、フェデリコ・フェリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ビットリオ・デ・シーカ、なんとイタリアの四大巨匠ともいうべき監督が顔をそろえ、しかも、マリサ・ソリナス、アニタ・エクバーグ、ロミー・シュナイダー、ソフィア・ローレンと、60年代もっもとセクシーだった女優4人の競演という、豪華でぜいたくな作品なのである。ヨーロッパ映画が、最高に人間の憧れと夢に膨らんでいた時期の、そのエッセンスが凝縮されている。(岡野宏文)
レビュー
製作: カルロ・ポンティ/アントニオ・チェルヴィ 監督・脚本: フェデリコ・フェリーニ/ルキノ・ヴィスコンティ 監督: マリオ・モニチェリ/ヴィットリオ・デ・シーカ 脚本: エンニオ・フライアーノ/トゥリオ・ピネッリ/スーゾ・チェッキ・ダミーコ/チェザーレ・ザヴァッティーニ/ゴッフリード・パリーゼ 撮影: アルマンド・ナンヌッツィ/オテッロ・マルテッリ/ジュゼッペ・ロトゥンノ 音楽: ピエロ・ウミリアーニ/ニーノ・ロータ/アルマンド・トロヴァヨーリ 出演: マリサ・ソリナス/ジェルマーノ・ジリオーリ/アニタ・エクバーグ/ペッピノ・デ・フィリッポ/ロミー・シュナイダー/トーマス・ミリアン/ソフィア・ローレン/ルイジ・ジュリア-ニ
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
登録情報
- アスペクト比 : 1.78:1
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : イタリア語
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
- EAN : 4527427613515
- 監督 : マリオ・モニチェリ, フェデリコ・フェリーニ, ルキノ・ヴィスコンティ, ヴィットリオ・デ・シーカ
- メディア形式 : 色, ワイドスクリーン
- 時間 : 3 時間 32 分
- 発売日 : 2003/11/21
- 出演 : マリサ・ソリナス, アニタ・エクバーグ, ロミー・シュナイダー, ソフィア・ローレン, カルロ・ポンティ
- 字幕: : 日本語
- 販売元 : ニューライン
- ASIN : B0000D8ROP
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 77,836位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年5月6日に日本でレビュー済み
2013年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
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往年の女優さん達を懐かしく鑑賞出来ました。
往年の女優さん達を懐かしく鑑賞出来ました。
2011年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オムニバスで4話の映画だったが、
内2話の映画が印象的だった。
豪華なダリアのようなソフィア・ローレンが
気風の良いダイナマイトお姉さんみたいで面白かった。
純真な娘の頃にはこのお色気には反発したかも。
ロミー・シュナイダーが女性でも唸るような
魅力を発散させて(お話はイマイチ単調だったが)
中々今の時代では見られない美しさだった。 ボッカチオ'70 <全長版> HDニューマスター版 [DVD ]
内2話の映画が印象的だった。
豪華なダリアのようなソフィア・ローレンが
気風の良いダイナマイトお姉さんみたいで面白かった。
純真な娘の頃にはこのお色気には反発したかも。
ロミー・シュナイダーが女性でも唸るような
魅力を発散させて(お話はイマイチ単調だったが)
中々今の時代では見られない美しさだった。 ボッカチオ'70 <全長版> HDニューマスター版 [DVD ]
2016年3月20日に日本でレビュー済み
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やはり2話目が好みでした。4話目も良かったですが、1話目が少し真面目すぎて、3話目がもうひとつ、ロミー・シュナイダーのお色気が中途半端だったようなかんじでした。でも全体的に満足しています。
2013年5月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
時々無性に観たくなるので購入しました。
オムニバスなので1編ずつは長くはないのでちょっと時間がある時にどれかを
観たりしてます。
全て女優さんたちの魅力を存分に
引き出してると思います。
私は特にフェリーニの話が好きです。
良い作品は何度も観たくなるものですね。
オムニバスなので1編ずつは長くはないのでちょっと時間がある時にどれかを
観たりしてます。
全て女優さんたちの魅力を存分に
引き出してると思います。
私は特にフェリーニの話が好きです。
良い作品は何度も観たくなるものですね。
2005年9月11日に日本でレビュー済み
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第1話から4話までの合計が195分。(DVD2枚組)これに短い特典映像が付くので、かなりのボリュームがあります。個人的に一番面白かったのはフェデリコ・フェリーニが監督した第2話の「アントニオ博士の誘惑」、余韻が残ったのは第4話のビットリオ・デ・シーカ監督の「くじ引き」でしょうか。女優陣では、第4話のソフィア・ローレンが圧倒的に存在感を示していますね!これだけ大物イタリア人監督を集められた製作者、カルロ・ポンティはやっぱり凄いです。
2013年4月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
若かりし頃出演した映画でヌ-ドになっていますが日本では残念ながら公開されていませんので、これと、「島の女」、「ああ結婚」がソフィア・ロ-レンの豊かな胸を観賞するにはとてもよいですね。
オムニバス映画「昨日・今日・明日」の3話目の下着姿もたまりません。
この「ボッカチオ」のなかで着ている衣装と「ああ結婚」の衣装が同じでしたが、エッチでいいですなあ、とても。
「島の女」は映画自体はどおってこたあないんだけど、ノ-ブラで水に濡れたシャツが肌に貼りついてそりゃあ、あなたもう(以下略)
オムニバス映画「昨日・今日・明日」の3話目の下着姿もたまりません。
この「ボッカチオ」のなかで着ている衣装と「ああ結婚」の衣装が同じでしたが、エッチでいいですなあ、とても。
「島の女」は映画自体はどおってこたあないんだけど、ノ-ブラで水に濡れたシャツが肌に貼りついてそりゃあ、あなたもう(以下略)
2016年7月15日に日本でレビュー済み
『ボッカチオ'70』というオムニバス作品の中の一つだが、R.シュナイダー主演の伯爵夫人が夫とのセックスを「セックスというお仕事」にする悲しみがテーマという上野千鶴子好みの作品。それはそれでいいのだが、シュナイダーのドイツ語とイタリア語の使い分けがとても面白い。夫の伯爵はドイツ語が分からないという設定になっている。逆に執事の一人とはドイツ語が通じる。
だが夫の伯爵はフランス語はできるようだ。読んでいる小説がロブ=グリエの『消しゴム』(当時の最新のフランス小説)だというところがもう一つ面白いところだが、映画の内容と『消しゴム』の内容とが交差しないところが、いまいちと言えばいまいち。ロブ=グリエの小説こそ表面をなぞる視線の繰り返しの無限性という(バロック的な)恐ろしさを現代化したものに思えるが、その点から見ればヴィスコンティーはまだ「人間的」な作家かもしれない。
だが夫の伯爵はフランス語はできるようだ。読んでいる小説がロブ=グリエの『消しゴム』(当時の最新のフランス小説)だというところがもう一つ面白いところだが、映画の内容と『消しゴム』の内容とが交差しないところが、いまいちと言えばいまいち。ロブ=グリエの小説こそ表面をなぞる視線の繰り返しの無限性という(バロック的な)恐ろしさを現代化したものに思えるが、その点から見ればヴィスコンティーはまだ「人間的」な作家かもしれない。