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集められた曲はオペラのアリアからフォーク・ソング、歌謡曲までと幅広いが、新垣勉の歌い方は終始折り目正しい。しかし、それは歌に心がこもっていないということではない。楷書のように生真面目なアプローチではあっても、彼の熱いハートは十分に感じられる。あたたかなぬくもりを持つ声の魅力は、どんな曲においても輝いている。
新垣の誠実な歌い方がもっともマッチしているのは、「あざみの歌」や「長崎の鐘」といった懐メロかもしれない。勢いで歌い飛ばすことがなく、かといってチマチマした抒情に逃げ込まない正攻法がすがすがしい印象を与える。逆に、ややリラックスした新垣を聴くことができるのは、サイモン&ガーファンクルの代表作「明日に架ける橋」だ。ここでの新垣は声のニュアンスも豊かで、いかにも気持ちよさげに歌っている。なお、ライナーノーツに「イムジン河」が韓国の歌だと書いてあるのは北朝鮮の間違い。日本と朝鮮半島の複雑な関係の中で数奇な運命をたどった名曲だ。(松本泰樹)
メディア掲載レビューほか
盲目のテノール歌手、新垣勉のアルバム。蓜島公二指揮による管弦楽団を伴奏に、世界平和の祈りと人類愛、明日への希望というメッセージを込めた作品。 (C)RS