「生きてもないのに、死んでたまるか!」(「鈍色の青春」)の一念を、すさまじいスピードに乗せ、ギターをかきむしる。たまたまそれができるから、という理由のみで牧歌的なピアノが歌を援護射撃する。デビュー曲「自殺志願者が電車に飛び込むスピード」での彼らの行動原理はまさにそういうものだった。
このメジャー1stアルバムにもそれはある。ただ、さらに一歩、人間の闇の部分に迫る描写が増えたことに驚嘆する。たとえば親を撲殺する少年の気持ちを、あなたはまったく理解できないだろうか?(「金属バット」) 轟音を上げて眼前を過ぎる山手線に、瞬時に何かに意識を転化されることはないだろうか?(「山手線」) ヴォーカル・竹原ピストルのリアルすぎて時に冷酷な歌詞は、彼なりの現実への即効力を考えて生まれたものだ。知性的なロックである。(石角友香)
インパクト満点のデビュー・シングル「自殺志願者が線路に飛び込むスピード」などを収録した、野狐禅の1stアルバム。とにかく音を聴かせることにこだわった、会心の1作。 -- 内容(「CDジャーナル」データベースより)優しさあふれるフォークであり、ピアノの弾き語り……、だけど歪んだ過去とか苦い想い出みたいなものまで一緒にほじくり返すハードさがある。アコギの音色は緩やかなアルペジオにも、時に攻撃体制の音にもなり得る。だけどこの情緒の動きは決して心地悪くないもの。たくさんの出来事をわずか数分にギュッと濃縮した語りの数々が、やけに生々しく熱くさせる。“生きてもないのに、死んでたまるか!”と叫びを背に“生きていこうと思うんです”。何かに取り付かれたかのような懸命さ。自然すぎるその姿が新しいファースト・アルバム。 (高橋典子) --- 2004年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
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