シャンパンのドンペリは超高級品だが、音楽のドンシャリは、文字通り「ドン」といって「シャリシャリ」という低品位の音質・音響表現を指して言う。
ここに聴かれる音楽は、ベートーヴェンというよりは京劇である。
不愉快を通り越して、笑ってしまう演出である。
そういえば、彼の出演する映像作品も、ことごとくお笑い作品(もったいを付けた瞑想指揮状態を全面にフィーチャー)であることから想像するに、この稀代の有名指揮者は何か大きな勘違いをしていたのであろう。
スコアと聴衆との間に立って、音楽に奉仕するのではなく、自分の方に関心を引きつけることだけに音楽を利用した・・・、といっては言い過ぎだろうか。個性とか解釈といってしまえばそれまでだが、フルトヴェングラーやクレンペラーと聞き比べれば、いずれがベートーヴェン音楽のあるべき姿を表現しているかは明らかだと思う。
星は一つも付けたくないのだが、レビュー投稿規定に従った。