77年から82年の5年間。当時の、フュージョンだけでなく日本の音楽シーンそのものが集約されているアルバム9作品のボックス化である。これは快挙という他はない。フュージョンという音楽の形態がこの５年という短い間に大きく進化していったことがこの作品群を年代順に聴くとわかる。これはまさに日本のフュージョン史そのものといえる作品群なのだ。たとえば77年の「OLIVE'S STEP」では1～４曲までがロック系ミュージシャン、５～７曲目がジャズミュージシャン、という二つの異なったメンバーで構成されている。ところが79年の「KYLYN」や 80年発表の「TO CHI KA」ではミュージシャン自身がロック、ジャズ両方を扱える人たちであり、その一曲の中にロックとジャズが自然に融合しているのである。これぞフュージョン。この自然発生的な融合の形は79、80、81年までがピークで、その後フュージョンは定型化し、そして再びロックとジャズは分離していくのである。それともう一つの発見は、バックの音楽がかような変化を見せているのに対し、香津美のギタープレイやフレイジングは最初から完成されていて、きわめて冷静であることに驚く。やはり天才なのだな、この人は。
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