サウラのいつものフラメンコ映画と同じく、これもリハーサル風景の積み重ねが、いつの間にかストーリィをつくり出していくという、メイキング/ドキュメンタリータッチの作品となっている。
相変わらずひとつひとつのカットの構成が素晴らしく、場面の移り変わりだけでため息が出るほどに美しい。
そして極めつけのサロメの舞では、決めてとなるヴェールのつくり方に関する衣装係との丹念な打ち合わせから始まり、(ある意味本番の)リハーサル風景ではごく薄く重ねられた何ともいえない色合いのヴェールがほんとうに一枚ずつ脱ぎ捨てられ、最後はほぼ裸体をさらしたサロメがヘロデにヨハネの首を請う。
思わず義娘の乳房に見入られたヘロデがそれを拒否できるまでもなかった。
官能美に満ちあふれた映像の洪水。