まさにアルモドバル監督にしか出来ない世界である。
まったくバラバラなモチーフが、完全に融合はしていないのだが
そこから不思議なハーモニーが生まれる。
漂ってくる悲しさ、たくましさ、そして失望と希望。
独特の世界である。
愛する人を傷つける方法でした愛情表現がわからないヒロイン、
彼女のもう一つの顔は人気恋愛小説家である。匿名でまったく姿を現さない彼女と親友の精神科医、新聞の文化面のデスク、コソボ内戦の従軍軍人の夫、フラメンコダンサーだったお手伝いとその息子のダンサー、母親と妹など様々な人物が絡んでくる。
それぞれが自意識が強くまったく他人と相容れない人物ばかりである。
彼女は恋愛に関してあまりにも不器用である、そして周りがまったく見えていない、
彼女を心配している人の事も、愛する人も
心の離れた夫との関係を清算したとき、彼女は新たな自分を見つけはじめる。
劇中でのホアキンコルテスのダンスは見事。
そして中で語られるヒロインが創作したという小説はその後「ボルベール」でアルモドバル監督の手で映画化されている。
語るのが難しいアルモドバル作品。
その中でもこの作品について内容を語るのは非常に難しい。
しかし心の奥になにかを残す作品である。