蟻のCDジャケットをみたらこれはテクノ/トランスのアルバムか、もしくはノイズミュージックを連想するが良質のハードなジャズロック。
ヘビーメタルの系譜で語られることの多いヴァージル・ドナティだがPLANET Xの参加からジャズロックへ急接近(むしろ彼の持ち味はココにある)した。
このアルバム全体を支配しているポリリズムの嵐は彼の演奏が前提もしくはコンピュータにそっけなくやらせてしまうかの二者択一の諸刃の剣。上半身の安定したリズムにキックがポリリズム全開で突っ走ったり、非常に高度なパターンをシャープに聞かせてしまうあたりは鳥肌もの。M3のイントロのポリリズムはヴァージルならではで中間部のメロディが出てくるあたりからは完全にGARSED/HELMERICHだ。それもそのはずであの二人が競演して、ソロはTJが弾いていて彼だと一目瞭然のフレーズ。M4の淡々と続く変拍子も軽くこなす。
ハードで綱渡り的なインストバトルを期待して聞くのであれば大正解。リズムマニア必聴盤。