お届け先を選択

アデラ/ニック・カーター、プラハの対決 [DVD]

4.7 5つ星のうち4.7 4個の評価

仕様
価格
新品 中古品
DVD 通常版
¥15,000
フォーマット 色, レターボックス化
コントリビュータ オルドリッチ・リプスキー, ミハイル・ドチュロマンスキー
言語 チェコ語
稼働時間 1 時間 46 分

CD・DVD・テレビゲーム・PCソフト お買い得ストア
タイムセール、キャンペーン、クーポン、在庫処分ワゴンセール、バーゲン品、廉価版など、お買い得商品がもりだくさん。 ⇒いますぐチェック

商品の説明

レビュー

監督: オルドリッチ・リプスキー 脚本: イジー・プルデチュカ 撮影: ヤロスラフ・クチェラ 特殊撮影・美術: ヤン・シュヴァンクマイエル 音楽: ルボシュ・フィシェル 出演: ミハイル・ドチョロマンスキー/ルドルフ・フルシンスキー/ミロシュ・コペツキー/ナーダ・コンヴァリンコヴァー/ラディスラフ・ペセーク
--
内容(「CDジャーナル」データベースより)

登録情報

  • アスペクト比 ‏ : ‎ 1.78:1
  • メーカーにより製造中止になりました ‏ : ‎ いいえ
  • 言語 ‏ : ‎ チェコ語
  • 梱包サイズ ‏ : ‎ 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
  • EAN ‏ : ‎ 4510840401159
  • 監督 ‏ : ‎ オルドリッチ・リプスキー
  • メディア形式 ‏ : ‎ 色, レターボックス化
  • 時間 ‏ : ‎ 1 時間 46 分
  • 発売日 ‏ : ‎ 2004/3/26
  • 出演 ‏ : ‎ ミハイル・ドチュロマンスキー
  • 字幕: ‏ : ‎ 日本語
  • 販売元 ‏ : ‎ エプコット
  • ASIN ‏ : ‎ B0001FAH84
  • ディスク枚数 ‏ : ‎ 1
  • カスタマーレビュー:
    4.7 5つ星のうち4.7 4個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
4グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう
チェコ・ファンタスティック映画の鬼才、オルドリッチ・リプスキーの愉快・痛快活劇シネマ
5 星
チェコ・ファンタスティック映画の鬼才、オルドリッチ・リプスキーの愉快・痛快活劇シネマ
口元ゆるみっ放し。最高にベタで愉快なドタバタファンタスティック活劇映画だ。そして、このパッケージデザインの何と魅力的なことか!もちろんジャケ買いしてもOKよ。考えてみれば、そもそも筆者がアマゾンでレビューを書き始めた理由は、光の当たらない傑作映画、時代の流れの中で忘れられていってしまう映画、愛すべきマイノリティー映画たちに再び光を当てる役にわずかでもたてれば・・・という思いからであった。だからメジャーな映画のレビューは、基本書かない。興味が無いからではなく、他の方々が書いてくれるから自分は書く必要がない、という思いからだ。大好きな映画でも、熱いレビューが多く書かれているので、いまだにレビューを書いていないという作品もけっこうある(『ウェスタン』とか『ソルジャー・ブルー』とかね)。何をいきなり初心に返っているのかと言うと、そういえば筆者はチェコの映画が大好きなのに、ほとんどレビューを書いていなかったことに気づいたからだ。チェコは世界に誇るファンタスティック映画王国、比類なきイマジネーションの坩堝である。ということで今回紹介する監督は、とにかくおかしくって馬鹿馬鹿しくてわくわくする活劇を撮らせたら右に出る者なし、のオルドリッチ・リプスキー。本作『アデラ/ニック・カーター プラハの対決』('77)は、日本でも公開されたことのある映画なのだ(ちなみに日本公開は'83年)。本作の主人公、探偵ニック・カーターについてまず説明しておくと、19世紀末にアメリカで流行った「ダイム・ノヴェル」、いわゆる三文小説(失礼!)のヒーロー。頭脳明晰にして銃の名手、格闘技の達人という絵に描いたような無敵の探偵だ(笑)。20世紀初頭には、フランスで連続活劇映画にもなったそうなので、世界的に有名なキャラターだったようだ。きっとリプスキーの少年時代のヒーローだったのだろう。ということであらすじ紹介。冒頭は、アメリカ最大の都市、ニューヨークから始まる・・・のだがチェコ映画がアメリカロケなんてできるわけがなく、いきなり銅版画で描かれたNYの街(笑)。続いてセット丸出しのニック・カーターのオフィス。机の上に飾ってあるエジソンの写真には「君の助言は百万ドル以上」とか、ホームズの写真には「君に勝る探偵はいない」などと書かれ、ニックの天才ぶりをこれ見よがしにひけらかす。と・・・いきなり窓から怪しい人物がバクダンを事務所に!ニックが足元のペダルを踏むと窓が降りて犯人がはさまれ、悠々とコーヒーで導火線を消化。すると次は壁際から斧を持った凶悪な賊が・・・って、お前どこから現れたんだ!とツッ込む間もなく再びニックがペダルを踏むと、天井から巨大な磁石が現れ斧を吸着&足蹴りで撃退。どんだけ都合のいい仕掛けだ(笑)!そしてお次はファントマそっくりの怪人(というかファントマそのもの・笑)が堂々と正面ドアから銃を構えて侵入。今度こそニック、ピンチか?と思いきや催眠術で怪人は昏倒。そんなのアリかよ(爆笑)!・・・と、まあこんな感じでいきなり導入からベタなギャグで大変笑わせてくれる期待通りの展開なのだ。そんな無敵探偵ニックのもとには世界中の警察から支援の依頼が舞い込む。で、手紙の束から無造作に抜き取ったのは、チェコ警察からの依頼「重要人物が行方不明」だった(笑)。「さて、チェコ語を覚えなければ」って、あの・・・さっきからあなた、チェコ語しゃべってますけど(笑)。そんなわけで、チェコはプラハにやってきたニック・カーター。四六時中ソーセージを食べている食いしん坊のレドビナ警部と意気投合して、捜査もそっちのけでいきなりピルゼンビール巡り(笑)。さて、依頼主の伯爵夫人の館におじゃますると、何と失踪した愛犬を探して欲しいというものだった。思わず脱力な展開・・・?と思いきや、愛犬の失踪には恐ろしい事実が。ワンちゃんは人喰い植物に食われてしまっていたのだ!しかも、事件の陰には、かつてニックが葬り去ったはずの宿敵・犯罪王クラツマル=通称「植木屋」の姿が垣間見える・・・。マッドサイエンティスト、クラツマルの創造した人喰い植物・アデラとニック・カーターの戦いが、魔都プラハを舞台に火花を散らす!さて、何が面白いのかと言うと、ありすぎて何から書いていいのかわからないのだが(笑)、とにかくベタでお約束なギャグの数々・・・よく考えてみれば、特に斬新なことはしていないのだが、ギャグを繰り出すタイミングの巧さや、たたみかけるような展開(特にクライマックスの追っかけシーンは最高)に、ついつい笑いがこみ上げてしまう。例えば、伯爵夫人がワンちゃんの失踪を回想するシーンでは、なぜか突然サイレント映画風になり、身振り手振りも大げさで動きもストップモーションのパラパラマンガ風で・・・いやこれは観てもらわないと判らんだろうなぁ(またまた画像掲載してるのでご覧あれ)。おもちゃ箱をひっくり返したような、といった表現がピッタリのリプスキー映画は、音楽もツボを外さないベタぶりで、オープニングは、モーツァルトの子守唄を、タクトを振る指揮者をバックに優雅に聞かせておいて、いきなり安っぽくてアップテンポな活劇風音楽が割って入って来るというキッチュな趣向。悪人の登場シーンには、いかにもワルそう(しかもチープ)な音楽がかかるのが楽しくてニヤけてしまう。探偵ニック・カーターは、言ってみればローテク版の007で、訳のわからん秘密兵器や珍道具をいっぱい持っている。煙幕からロケットパンチ(?)まで何でも飛び出す都合のいい帽子にはじまり、胴体に取り付けるだけで空が飛べる超スチームパンクなデザインの飛行装置(頭はしっかりタケコプター)、果ては太陽光線銃まで、ジェームズ・ボンドも苦笑必至だ。対する相棒役のレドビナ警部は、いつも眠そうな目をしながら、どこにいてもソーセージなどを食べ続けている食いしん坊。この凸凹コンビが最高。決まっているようで、どこか抜けているニック・カーター演じるは、ミハイル・ドチョロマンスキー(名前も爆笑)。とにかく無表情で人を食った演技が妙に魅力的。そして、おとぼけレドビナ警部を演じるルドルフ・フルシンスキーは愛嬌たっぷりで最高。ぼ〜っとしているようで、決めるときはしっかり決める(しかもさりげなくやるところがいい)。監督のリプスキーは、この二人がよっぽどお気に入りらしく、ジュール・ベルヌ原作の19世紀風ドタバタ活劇『カルパテ城の謎』でも迷コンビを組ませている。リプスキー映画は、とにかく大衆的というか、斜に構えたゲイジュツっぽさが全くなくって観ていてほんとうに気持ちがいいのだが、片やキッチュなデザインの小道具などを巧く使って、リプスキー・ワールドともいえる独特のビジュアルを創り上げている。例えば、本作に出てくる人喰い植物アデラは、何とチェコ・アングラアニメの大家ヤン・シュヴァンクマイエルのデザイン(コマ撮りアニメもあり)で、こうした奇妙なキャラクターや装置がファンタスティックな雰囲気を高めていて、まさにパルプ・マガジンの挿絵を見ているようなワクワク感を楽しめるのだ。画像いっぱい掲載したのでご覧あれ。劣等性だったトラウマから、復讐を計画するマッドサイエンティストが育てる人喰い植物は、モーツァルトの子守唄を聴くと食欲が湧いてくるという設定も珍妙で意味不明だ(笑)。これ一作で終わらせてしまうのはもったいないくらい面白く、シリーズ化してほしかった作品。リプスキーの映画は、日本ではDVDで本作のほかに『カルパテ城の謎』('81)、サイレント映画風コメディー西部劇『レモネード・ジョー』('64)が観れるのみで、しかも残念ながらもう絶版のようだ。かつてのビデオ時代でも、女性にヒゲが生え、子どもが生まれなくなった未来を変えるために、アインシュタインを暗殺しに過去へゆくという珍SF『アインシュタイン暗殺指令』('70)が出ていたくらいで、もっともっとこの監督の作品を紹介してほしいと思うのだ。最近の映画って、人生の苦悩とか孤独とかを描いた辛気臭い重〜いお話ばっかりで、気づくと映画本来の面白さを追求した作品がほとんどない。ご大層なテーマなんて何も無いけど、リプスキーの映画って、「映画って面白い!」という単純だけととっても大切なことを思い出させてくれるのだ。本DVDについているライナーノーツによると、リプスキーは他にも、妻を殺した男の人生を、死刑の瞬間から誕生まで遡って描くいてゆく『ハッピーエンド』('66)や、映画とコメディーへの愛に満ちた遺作『偉大なる映画泥棒』('86)など、この手のマニアに支持される面白そうな映画をいっぱい撮っている。実は日本は世界でも屈指のチェコ映画びいきの国で、その背景にはわが国がアニメ大国だからチェコの独特のアニメーション映画やアートセンスへの理解が深いという話を聞いたことがある。チェコの映画人は、日本に足を向けて寝れないのだ。ホンマかいな(笑)。ということで、本作の再発のみならず、未発掘のリプスキー映画の発売を叫びたい。チェコ・ファンタスティック映画魂は永遠不滅、日本から発信せよ!
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした

上位レビュー、対象国: 日本

2012年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
口元ゆるみっ放し。最高にベタで愉快なドタバタファンタスティック活劇映画だ。
そして、このパッケージデザインの何と魅力的なことか!もちろんジャケ買いしてもOKよ。

考えてみれば、そもそも筆者がアマゾンでレビューを書き始めた理由は、光の当たらない傑作映画、時代の流れの中で忘れられていってしまう映画、愛すべきマイノリティー映画たちに再び光を当てる役にわずかでもたてれば・・・という思いからであった。だからメジャーな映画のレビューは、基本書かない。興味が無いからではなく、他の方々が書いてくれるから自分は書く必要がない、という思いからだ。大好きな映画でも、熱いレビューが多く書かれているので、いまだにレビューを書いていないという作品もけっこうある(『ウェスタン』とか『ソルジャー・ブルー』とかね)。
何をいきなり初心に返っているのかと言うと、そういえば筆者はチェコの映画が大好きなのに、ほとんどレビューを書いていなかったことに気づいたからだ。
チェコは世界に誇るファンタスティック映画王国、比類なきイマジネーションの坩堝である。
ということで今回紹介する監督は、とにかくおかしくって馬鹿馬鹿しくてわくわくする活劇を撮らせたら右に出る者なし、のオルドリッチ・リプスキー。本作『アデラ/ニック・カーター プラハの対決』('77)は、日本でも公開されたことのある映画なのだ(ちなみに日本公開は'83年)。

本作の主人公、探偵ニック・カーターについてまず説明しておくと、19世紀末にアメリカで流行った「ダイム・ノヴェル」、いわゆる三文小説(失礼!)のヒーロー。頭脳明晰にして銃の名手、格闘技の達人という絵に描いたような無敵の探偵だ(笑)。20世紀初頭には、フランスで連続活劇映画にもなったそうなので、世界的に有名なキャラターだったようだ。きっとリプスキーの少年時代のヒーローだったのだろう。ということであらすじ紹介。

冒頭は、アメリカ最大の都市、ニューヨークから始まる・・・のだがチェコ映画がアメリカロケなんてできるわけがなく、いきなり銅版画で描かれたNYの街(笑)。続いてセット丸出しのニック・カーターのオフィス。机の上に飾ってあるエジソンの写真には「君の助言は百万ドル以上」とか、ホームズの写真には「君に勝る探偵はいない」などと書かれ、ニックの天才ぶりをこれ見よがしにひけらかす。と・・・いきなり窓から怪しい人物がバクダンを事務所に!ニックが足元のペダルを踏むと窓が降りて犯人がはさまれ、悠々とコーヒーで導火線を消化。すると次は壁際から斧を持った凶悪な賊が・・・って、お前どこから現れたんだ!とツッ込む間もなく再びニックがペダルを踏むと、天井から巨大な磁石が現れ斧を吸着&足蹴りで撃退。どんだけ都合のいい仕掛けだ(笑)!そしてお次はファントマそっくりの怪人(というかファントマそのもの・笑)が堂々と正面ドアから銃を構えて侵入。今度こそニック、ピンチか?と思いきや催眠術で怪人は昏倒。そんなのアリかよ(爆笑)!
・・・と、まあこんな感じでいきなり導入からベタなギャグで大変笑わせてくれる期待通りの展開なのだ。
そんな無敵探偵ニックのもとには世界中の警察から支援の依頼が舞い込む。で、手紙の束から無造作に抜き取ったのは、チェコ警察からの依頼「重要人物が行方不明」だった(笑)。
「さて、チェコ語を覚えなければ」って、あの・・・さっきからあなた、チェコ語しゃべってますけど(笑)。
そんなわけで、チェコはプラハにやってきたニック・カーター。四六時中ソーセージを食べている食いしん坊のレドビナ警部と意気投合して、捜査もそっちのけでいきなりピルゼンビール巡り(笑)。
さて、依頼主の伯爵夫人の館におじゃますると、何と失踪した愛犬を探して欲しいというものだった。思わず脱力な展開・・・?と思いきや、愛犬の失踪には恐ろしい事実が。ワンちゃんは人喰い植物に食われてしまっていたのだ!しかも、事件の陰には、かつてニックが葬り去ったはずの宿敵・犯罪王クラツマル=通称「植木屋」の姿が垣間見える・・・。マッドサイエンティスト、クラツマルの創造した人喰い植物・アデラとニック・カーターの戦いが、魔都プラハを舞台に火花を散らす!

さて、何が面白いのかと言うと、ありすぎて何から書いていいのかわからないのだが(笑)、とにかくベタでお約束なギャグの数々・・・よく考えてみれば、特に斬新なことはしていないのだが、ギャグを繰り出すタイミングの巧さや、たたみかけるような展開(特にクライマックスの追っかけシーンは最高)に、ついつい笑いがこみ上げてしまう。例えば、伯爵夫人がワンちゃんの失踪を回想するシーンでは、なぜか突然サイレント映画風になり、身振り手振りも大げさで動きもストップモーションのパラパラマンガ風で・・・いやこれは観てもらわないと判らんだろうなぁ(またまた画像掲載してるのでご覧あれ)。おもちゃ箱をひっくり返したような、といった表現がピッタリのリプスキー映画は、音楽もツボを外さないベタぶりで、オープニングは、モーツァルトの子守唄を、タクトを振る指揮者をバックに優雅に聞かせておいて、いきなり安っぽくてアップテンポな活劇風音楽が割って入って来るというキッチュな趣向。悪人の登場シーンには、いかにもワルそう(しかもチープ)な音楽がかかるのが楽しくてニヤけてしまう。

探偵ニック・カーターは、言ってみればローテク版の007で、訳のわからん秘密兵器や珍道具をいっぱい持っている。煙幕からロケットパンチ(?)まで何でも飛び出す都合のいい帽子にはじまり、胴体に取り付けるだけで空が飛べる超スチームパンクなデザインの飛行装置(頭はしっかりタケコプター)、果ては太陽光線銃まで、ジェームズ・ボンドも苦笑必至だ。
対する相棒役のレドビナ警部は、いつも眠そうな目をしながら、どこにいてもソーセージなどを食べ続けている食いしん坊。この凸凹コンビが最高。決まっているようで、どこか抜けているニック・カーター演じるは、ミハイル・ドチョロマンスキー(名前も爆笑)。とにかく無表情で人を食った演技が妙に魅力的。そして、おとぼけレドビナ警部を演じるルドルフ・フルシンスキーは愛嬌たっぷりで最高。ぼ〜っとしているようで、決めるときはしっかり決める(しかもさりげなくやるところがいい)。監督のリプスキーは、この二人がよっぽどお気に入りらしく、ジュール・ベルヌ原作の19世紀風ドタバタ活劇『カルパテ城の謎』でも迷コンビを組ませている。

リプスキー映画は、とにかく大衆的というか、斜に構えたゲイジュツっぽさが全くなくって観ていてほんとうに気持ちがいいのだが、片やキッチュなデザインの小道具などを巧く使って、リプスキー・ワールドともいえる独特のビジュアルを創り上げている。例えば、本作に出てくる人喰い植物アデラは、何とチェコ・アングラアニメの大家ヤン・シュヴァンクマイエルのデザイン(コマ撮りアニメもあり)で、こうした奇妙なキャラクターや装置がファンタスティックな雰囲気を高めていて、まさにパルプ・マガジンの挿絵を見ているようなワクワク感を楽しめるのだ。画像いっぱい掲載したのでご覧あれ。
劣等性だったトラウマから、復讐を計画するマッドサイエンティストが育てる人喰い植物は、モーツァルトの子守唄を聴くと食欲が湧いてくるという設定も珍妙で意味不明だ(笑)。
これ一作で終わらせてしまうのはもったいないくらい面白く、シリーズ化してほしかった作品。

リプスキーの映画は、日本ではDVDで本作のほかに『カルパテ城の謎』('81)、サイレント映画風コメディー西部劇『レモネード・ジョー』('64)が観れるのみで、しかも残念ながらもう絶版のようだ。かつてのビデオ時代でも、女性にヒゲが生え、子どもが生まれなくなった未来を変えるために、アインシュタインを暗殺しに過去へゆくという珍SF『アインシュタイン暗殺指令』('70)が出ていたくらいで、もっともっとこの監督の作品を紹介してほしいと思うのだ。
最近の映画って、人生の苦悩とか孤独とかを描いた辛気臭い重〜いお話ばっかりで、気づくと映画本来の面白さを追求した作品がほとんどない。ご大層なテーマなんて何も無いけど、リプスキーの映画って、「映画って面白い!」という単純だけととっても大切なことを思い出させてくれるのだ。

本DVDについているライナーノーツによると、リプスキーは他にも、妻を殺した男の人生を、死刑の瞬間から誕生まで遡って描くいてゆく『ハッピーエンド』('66)や、映画とコメディーへの愛に満ちた遺作『偉大なる映画泥棒』('86)など、この手のマニアに支持される面白そうな映画をいっぱい撮っている。
実は日本は世界でも屈指のチェコ映画びいきの国で、その背景にはわが国がアニメ大国だからチェコの独特のアニメーション映画やアートセンスへの理解が深いという話を聞いたことがある。チェコの映画人は、日本に足を向けて寝れないのだ。ホンマかいな(笑)。
ということで、本作の再発のみならず、未発掘のリプスキー映画の発売を叫びたい。
チェコ・ファンタスティック映画魂は永遠不滅、日本から発信せよ!
カスタマー画像
5つ星のうち5.0 チェコ・ファンタスティック映画の鬼才、オルドリッチ・リプスキーの愉快・痛快活劇シネマ
2012年12月27日に日本でレビュー済み
口元ゆるみっ放し。最高にベタで愉快なドタバタファンタスティック活劇映画だ。
そして、このパッケージデザインの何と魅力的なことか!もちろんジャケ買いしてもOKよ。

考えてみれば、そもそも筆者がアマゾンでレビューを書き始めた理由は、光の当たらない傑作映画、時代の流れの中で忘れられていってしまう映画、愛すべきマイノリティー映画たちに再び光を当てる役にわずかでもたてれば・・・という思いからであった。だからメジャーな映画のレビューは、基本書かない。興味が無いからではなく、他の方々が書いてくれるから自分は書く必要がない、という思いからだ。大好きな映画でも、熱いレビューが多く書かれているので、いまだにレビューを書いていないという作品もけっこうある(『ウェスタン』とか『ソルジャー・ブルー』とかね)。
何をいきなり初心に返っているのかと言うと、そういえば筆者はチェコの映画が大好きなのに、ほとんどレビューを書いていなかったことに気づいたからだ。
チェコは世界に誇るファンタスティック映画王国、比類なきイマジネーションの坩堝である。
ということで今回紹介する監督は、とにかくおかしくって馬鹿馬鹿しくてわくわくする活劇を撮らせたら右に出る者なし、のオルドリッチ・リプスキー。本作『アデラ/ニック・カーター プラハの対決』('77)は、日本でも公開されたことのある映画なのだ(ちなみに日本公開は'83年)。

本作の主人公、探偵ニック・カーターについてまず説明しておくと、19世紀末にアメリカで流行った「ダイム・ノヴェル」、いわゆる三文小説(失礼!)のヒーロー。頭脳明晰にして銃の名手、格闘技の達人という絵に描いたような無敵の探偵だ(笑)。20世紀初頭には、フランスで連続活劇映画にもなったそうなので、世界的に有名なキャラターだったようだ。きっとリプスキーの少年時代のヒーローだったのだろう。ということであらすじ紹介。

冒頭は、アメリカ最大の都市、ニューヨークから始まる・・・のだがチェコ映画がアメリカロケなんてできるわけがなく、いきなり銅版画で描かれたNYの街(笑)。続いてセット丸出しのニック・カーターのオフィス。机の上に飾ってあるエジソンの写真には「君の助言は百万ドル以上」とか、ホームズの写真には「君に勝る探偵はいない」などと書かれ、ニックの天才ぶりをこれ見よがしにひけらかす。と・・・いきなり窓から怪しい人物がバクダンを事務所に!ニックが足元のペダルを踏むと窓が降りて犯人がはさまれ、悠々とコーヒーで導火線を消化。すると次は壁際から斧を持った凶悪な賊が・・・って、お前どこから現れたんだ!とツッ込む間もなく再びニックがペダルを踏むと、天井から巨大な磁石が現れ斧を吸着&足蹴りで撃退。どんだけ都合のいい仕掛けだ(笑)!そしてお次はファントマそっくりの怪人(というかファントマそのもの・笑)が堂々と正面ドアから銃を構えて侵入。今度こそニック、ピンチか?と思いきや催眠術で怪人は昏倒。そんなのアリかよ(爆笑)!
・・・と、まあこんな感じでいきなり導入からベタなギャグで大変笑わせてくれる期待通りの展開なのだ。
そんな無敵探偵ニックのもとには世界中の警察から支援の依頼が舞い込む。で、手紙の束から無造作に抜き取ったのは、チェコ警察からの依頼「重要人物が行方不明」だった(笑)。
「さて、チェコ語を覚えなければ」って、あの・・・さっきからあなた、チェコ語しゃべってますけど(笑)。
そんなわけで、チェコはプラハにやってきたニック・カーター。四六時中ソーセージを食べている食いしん坊のレドビナ警部と意気投合して、捜査もそっちのけでいきなりピルゼンビール巡り(笑)。
さて、依頼主の伯爵夫人の館におじゃますると、何と失踪した愛犬を探して欲しいというものだった。思わず脱力な展開・・・?と思いきや、愛犬の失踪には恐ろしい事実が。ワンちゃんは人喰い植物に食われてしまっていたのだ!しかも、事件の陰には、かつてニックが葬り去ったはずの宿敵・犯罪王クラツマル=通称「植木屋」の姿が垣間見える・・・。マッドサイエンティスト、クラツマルの創造した人喰い植物・アデラとニック・カーターの戦いが、魔都プラハを舞台に火花を散らす!

さて、何が面白いのかと言うと、ありすぎて何から書いていいのかわからないのだが(笑)、とにかくベタでお約束なギャグの数々・・・よく考えてみれば、特に斬新なことはしていないのだが、ギャグを繰り出すタイミングの巧さや、たたみかけるような展開(特にクライマックスの追っかけシーンは最高)に、ついつい笑いがこみ上げてしまう。例えば、伯爵夫人がワンちゃんの失踪を回想するシーンでは、なぜか突然サイレント映画風になり、身振り手振りも大げさで動きもストップモーションのパラパラマンガ風で・・・いやこれは観てもらわないと判らんだろうなぁ(またまた画像掲載してるのでご覧あれ)。おもちゃ箱をひっくり返したような、といった表現がピッタリのリプスキー映画は、音楽もツボを外さないベタぶりで、オープニングは、モーツァルトの子守唄を、タクトを振る指揮者をバックに優雅に聞かせておいて、いきなり安っぽくてアップテンポな活劇風音楽が割って入って来るというキッチュな趣向。悪人の登場シーンには、いかにもワルそう(しかもチープ)な音楽がかかるのが楽しくてニヤけてしまう。

探偵ニック・カーターは、言ってみればローテク版の007で、訳のわからん秘密兵器や珍道具をいっぱい持っている。煙幕からロケットパンチ(?)まで何でも飛び出す都合のいい帽子にはじまり、胴体に取り付けるだけで空が飛べる超スチームパンクなデザインの飛行装置(頭はしっかりタケコプター)、果ては太陽光線銃まで、ジェームズ・ボンドも苦笑必至だ。
対する相棒役のレドビナ警部は、いつも眠そうな目をしながら、どこにいてもソーセージなどを食べ続けている食いしん坊。この凸凹コンビが最高。決まっているようで、どこか抜けているニック・カーター演じるは、ミハイル・ドチョロマンスキー(名前も爆笑)。とにかく無表情で人を食った演技が妙に魅力的。そして、おとぼけレドビナ警部を演じるルドルフ・フルシンスキーは愛嬌たっぷりで最高。ぼ〜っとしているようで、決めるときはしっかり決める(しかもさりげなくやるところがいい)。監督のリプスキーは、この二人がよっぽどお気に入りらしく、ジュール・ベルヌ原作の19世紀風ドタバタ活劇『カルパテ城の謎』でも迷コンビを組ませている。

リプスキー映画は、とにかく大衆的というか、斜に構えたゲイジュツっぽさが全くなくって観ていてほんとうに気持ちがいいのだが、片やキッチュなデザインの小道具などを巧く使って、リプスキー・ワールドともいえる独特のビジュアルを創り上げている。例えば、本作に出てくる人喰い植物アデラは、何とチェコ・アングラアニメの大家ヤン・シュヴァンクマイエルのデザイン(コマ撮りアニメもあり)で、こうした奇妙なキャラクターや装置がファンタスティックな雰囲気を高めていて、まさにパルプ・マガジンの挿絵を見ているようなワクワク感を楽しめるのだ。画像いっぱい掲載したのでご覧あれ。
劣等性だったトラウマから、復讐を計画するマッドサイエンティストが育てる人喰い植物は、モーツァルトの子守唄を聴くと食欲が湧いてくるという設定も珍妙で意味不明だ(笑)。
これ一作で終わらせてしまうのはもったいないくらい面白く、シリーズ化してほしかった作品。

リプスキーの映画は、日本ではDVDで本作のほかに『カルパテ城の謎』('81)、サイレント映画風コメディー西部劇『レモネード・ジョー』('64)が観れるのみで、しかも残念ながらもう絶版のようだ。かつてのビデオ時代でも、女性にヒゲが生え、子どもが生まれなくなった未来を変えるために、アインシュタインを暗殺しに過去へゆくという珍SF『アインシュタイン暗殺指令』('70)が出ていたくらいで、もっともっとこの監督の作品を紹介してほしいと思うのだ。
最近の映画って、人生の苦悩とか孤独とかを描いた辛気臭い重〜いお話ばっかりで、気づくと映画本来の面白さを追求した作品がほとんどない。ご大層なテーマなんて何も無いけど、リプスキーの映画って、「映画って面白い!」という単純だけととっても大切なことを思い出させてくれるのだ。

本DVDについているライナーノーツによると、リプスキーは他にも、妻を殺した男の人生を、死刑の瞬間から誕生まで遡って描くいてゆく『ハッピーエンド』('66)や、映画とコメディーへの愛に満ちた遺作『偉大なる映画泥棒』('86)など、この手のマニアに支持される面白そうな映画をいっぱい撮っている。
実は日本は世界でも屈指のチェコ映画びいきの国で、その背景にはわが国がアニメ大国だからチェコの独特のアニメーション映画やアートセンスへの理解が深いという話を聞いたことがある。チェコの映画人は、日本に足を向けて寝れないのだ。ホンマかいな(笑)。
ということで、本作の再発のみならず、未発掘のリプスキー映画の発売を叫びたい。
チェコ・ファンタスティック映画魂は永遠不滅、日本から発信せよ!
このレビューの画像
カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像 カスタマー画像
カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像カスタマー画像
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2005年9月15日に日本でレビュー済み
舞台は、多分19世紀末。世界的に有名な名探偵ニック・カーターは、ハンサムで博覧強記で腕っ節が強く、最新の科学捜査に長けているスーパーヒーロー。いや、であるはずだ。
というのも、この映画ではパルプフィクション調のヒーローを、ストレートに描こうとはしていないからだ。むしろ、クルーゾー警部風味。意図的に描かれるバカ描写やスラップスティックは古臭さに粋が光る。計算されたレトロな味わいは心地よく、なんとも罪のない前世紀の冒険活劇は、ただ眺めているだけでも楽しいのだ。
タイトルになっている「アデラ」は、モーツァルトの子守唄を聞くと人間を襲う人食い植物。そのユーモラスかつグロテスクな魅力は、ヤン・シュバンクマイエルのモデルアニメーションによって、遺憾なく発揮されている。
そういう意味では、SFホラー好き、特に怪獣大好き人間は、見ておいて損はないぞ。あと、唐沢なをきのファンは、「蒸気王」を映像化したらこんな感じであろうという逸品なので、是非、観るべし。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2005年1月21日に日本でレビュー済み
まず、ニックカーター役の男優!アランドロン張りのハンサムです。
さらに、ニューヨーカーなのに、どう聞いても英語で話しておりません。
当たり前です。東欧映画だもん!
でもね、日本人からしてみれば、くくりは、白人。それでニューヨークの設定を持ち込まれても、違和感が無いから、逆に困る!
しかし、しかし、とても面白い。
ストーリーも悪くないし、面白シーンも満載。
また、普通なら実現不可能なシーンは勿論パペット!さすが、東欧!
そこかしこにいろいろな技が聞いてます。
登場人物は全員ユーモラス
主人公ニックカーターは外見はハンサムですが、中身は奇天烈。
プラハに仕事に行くからと時代錯誤名民族衣装を着込み「変装」と言い切ります。
その他、ソーセージを離さないプラハの刑事
色仕掛けのまじめな召使
男爵
大学教授
ありえないストーリー
新しすぎる!必見です。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート