この漫画登場以前のちばてつやが少年漫画で描くヒーロー像は、「ちかいの魔球」の二宮、「紫電改のタカ」の滝といった、ストイック系だったのが、この石田国松から無手勝流、傍若無人の天才肌といったヒーローの系譜へとシフトしていく。「あしたのジョー」、「おれは鉄兵」、「のたり松太郎」・・・と、周囲の人間との距離の取り方、遠慮、礼儀作法などどこ吹く風といったヒーローが次々に生まれて行った。人間集団の中のお約束事など屁の河童、つまらぬ規範の壁など豪快にぶち破っていく国松の姿は、みんな揃ってお約束を守っていたら人生豊かになれるぞという価値観が広く日本にあった60年代中期の登場時にはとても魅力的だった。しかし、その後、日本人の中流意識や右肩上がりの経済上昇や安定が担保されなくなった頃から、こうしたちば漫画傍若無人型ヒーローにはあまり共感を得られなくなった。あいつらみたいに生きられたら苦労はないよと、どこか反感のようなものまで抱くようになった。国松という少年を名門ハリス学園に放り込んだらどうなるかという設定は、植木等が演ずる、傍若無人でセンチメンタリズムとは縁遠い突進力抜群のサラリーマンが、堅苦しい会社組織の中で巻き起こす爽快な騒動の映画に通ずるものがある。あんな風に生きられたら苦労はないよ、というところまで共通している。

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南回帰線

明日のジョーの原型？石田国松ここにあり！

2014年4月5日に日本でレビュー済み

この作品は昭和４１年５月から放送された、ちばてつや原作の学園アニメです。
名門ハリス学園にすごい奴が現れた！その名を石田国松という。
とにかくスポーツ万能の暴れん坊で野球、剣道なんでもござれ。
たちまち学園の人気者となった。
「国松さまのお通りだい！屋根の子猫さんこんにちは！〜」のテーマ曲に
乗って、学園に大騒動を巻き起こす国松の行動は愉快、痛快そのものだ！

この番組の提供スポンサーがカネボウ食品で、ハリスガムというチューインガムが
発売されていて、よく買って食べたものだ。
抽選で当時大流行だったレーシングカーが当たるのも魅力だった。

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