『オーヴェルニュの歌』はフランスの作曲家ジョゼフ・カントルーブ（1879～1957）が自分の故郷オーヴェルニュ地方の民謡を管弦楽伴奏
歌曲の体裁に編曲した全5集からなる歌曲集。カントルーブの代表作、というより彼はこの一作のみでその名を知られている、いわゆる「一
発屋」である。1924年に初演が行われ、その後カントルーブは生涯をかけてこの作品に手を入れ続け、全5集を完成させた1955年の2年後に
亡くなっている。全曲録音はこのダウラツ盤が最初である。

ウクライナ出身のユダヤ人歌手でその後イスラエル国籍を取得したネタニヤ・ダウラツ（1931～1987）は「イスラエルの星」の異名を取る
ほどのスター・ソプラノで、アメリカを拠点にオペラ歌手として活躍、晩年は教育者として後進の育成に尽力した。ダウラツはアメリカのヴァ
ンガード・レーベルに少なからぬ録音を残したというが、この『オーヴェルニュの歌』の全曲録音は代表的な録音で、この作品の魅力を広く
世に知らしめた歴史的名盤である。彼女はこの作品が民謡であるという事をよく理解し、朴訥とさえ言えるほどの飾り気の無さで鄙びた情
感を伸び伸びと歌い上げており、聴き手の心に深く染み入る名唱である。元々民謡歌手出身であったというダウラツにはぴったりの作品であ
ったのだろう。1963年3月27日＆1966年3月16日、ウィーン、バウムガルテン・ホールでの収録で、音質も良好。

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本間甲斐那

ナクソス盤の方がよっぽど素晴らしい

2021年1月16日に日本でレビュー済み

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買いました。
だめですね。評判の割にはがっかりです。
ナクソス盤の方がよっぽど情感があって素晴らしい。
技量ではなく心ですね。
この曲の様に民俗学的見地に立つ楽曲は、人工的な架空の現実で表現することでは無理があると言うことですね。
言葉は悪いですが、イスラエル人が異国趣味で歌う上っ面を滑る表現と、もともとの生活者が歌う表現は違うということですね。
もちろん他の歌手の曲も同じですが…
ある意味、世界音楽ではない民族志向で作曲された音楽の表現のあり方や、普遍性の課題を感じさせる録音ではありました。
いずれにしろナクソス盤以下なので星一つです。
因みに、ナクソス版は荒いですが、心があるように思えるので、こちらは評価するならば星4でしょう。

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鹹

Netania Davrath, 1931-1987

2004年6月8日に日本でレビュー済み

ジョセフ・カントルーブのオーヴェルニュの歌を、ウクライナ出身でイスラエルに帰化したネタニア・ダヴラツが歌う。このダヴラツ盤が、オーヴェルニュの歌の初の全曲盤だった。
また、その追補としての南仏民謡集も、他の録音ではなかなか見当たらないだけに、貴重である。

カントルーブがオーヴェルニュの民謡につけた芳しき伴奏は、ピエール・ド・ラ・ローシュ(南仏民謡集では、ガーション・キングスレー)の指揮するスタジオ・オーケストラが演奏している。後の人たちが録音した伴奏に比べると、随分と荒っぽい伴奏だが、その荒っぽさが、却って民謡としての臨場感を生んでいる。雑然としているようで、勘所をしっかり押さえているので、ダヴラツの歌唱の邪魔にはならず、むしろ独特の風合いを与えることに貢献しているといえる。

ダヴラツの歌唱は、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」を想起させるような、純朴で生活感を感じさせるもの。伴奏の雰囲気も相俟って、それが非常に魅力的に聴こえる。
美しい情景よりも先に、オーヴェルニュという土地で生活する人の暮らしを想わせる、説得力のある歌唱である。
有名なバイレロも、声の伸びやかさよりも、生娘の素朴な可愛さのイメージが先に立つ。

カントルーブのオーヴェルニュの歌の全曲盤といえば、この録音を愛でてきた人は多い。
しかし、新しい録音が現れようと、この録音の魅力を減じることはないだろう。

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sasabon

『オーヴェルニュの歌』の定番ともいえる名唱です

2006年6月18日に日本でレビュー済み

外国の曲の中で妙に懐かしい気分にさせてくれるものの代表と思われるのがカントルーブ編曲の『オーヴェルニュの歌』だと思います。

フランスのオーヴェルニュ地方は高原地帯で、フランスの中でケルト系の原語を唯一残す地域だそうです。カントルーブがその地域の民謡を採譜し、南仏起源の方言「オック語」をそのまま採用しています。普通のフランス語とは違う辺りが素朴なのでしょうね。

ロス・アンヘレス盤もキリ・テ・カナワ盤も洗練されていて好きなのですが、ネタニア・ダヴラツの歌う『オーヴェルニュの歌』が一番素朴で味わいが深いと思っています。

ピエール・ド・ラローシュの指揮によるものだということは分かっていますが、オーケストラ名は不詳です。不思議な録音データだと思いますが、「ダヴラツ」の名唱さえあれば他の要素は問題がないとも言えましょう。

『オーヴェルニュの歌』の全曲を最初に録音したものがダヴラツ盤だそうで、『オーヴェルニュの歌』の定番として存在し続けてきたのも当然かもしれません。ダヴラツの歌は広い草原を走り回っているような羊飼いの娘を目の前に想像してしまうような歌唱です。

40年以上前の録音ですが、それを越える演奏が出ないというのは、相性のよさと醸し出す雰囲気によるものなのでしょうか。素人っぽくて、明るく健康的な歌い方歌唱で、味がありますね。「ミラベルの橋の上」なんかは、上ずってオーケストラと微妙に合いませんが、これもご愛嬌です。

「バイレロ」や「野原の羊飼いのおとめ」の哀愁を帯びた旋律はどこか日本の追分のような味わいを感じてしまいます。

「懐かしさ」という感覚は洋の東西を越えるみたいですね。

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vella mitsu-hide .com

好みが分かれるかな？

2006年3月20日に日本でレビュー済み

　歌い方に癖があるというか、はっきり言ってしまうとちょっとバカっぽく聴こえないこともないので、そこに良さを見出せるかどうかでこのＣＤを気に入るかどうかが分かれるだろう。ただし声自体は美しい。

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takechan202

エプロン姿がとてもよく似合う

2004年12月7日に日本でレビュー済み

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オーヴェルニュの歌はフランスの高原での生活を、ありのままに歌い上げた民謡を、カントルーブがソプラノとオーケストラ用に編曲した歌。ネタニア・ダヴラツの澄んだ歌声がこの上なく美しい。他の歌手だといかにも舞台衣装での気取った顔が浮かんでくるのだが、ダヴラツだと、まるで「大草原の小さな家」に出てくるようなエプロン姿で、笑顔一杯に歌っている、そうした雰囲気をかもし出しています。オーケストラも威圧感なく、実に素朴な伴奏をしてくれます。

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カントルーブ:オーヴェルニュの歌

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