各話とも、原作にあるエピソードがかなり割愛されています。
小説では詳細に語られている時代背景(中世イギリスの風俗や民衆の暮らしぶり、当時の政治的な事情など)については画面だけでは少々わかりづらいところがありますが、ドラマの部分は丁寧に作られているのでイメージが損なわれることはありません。雑然としながらも活気のある町中の様子、修道院の中の雰囲気、森や川べりの自然など、映像のすみずみまで見どころが多いです。
カドフェル役のデレク・ジャコビは小説で描写されているよりも数段渋くてカッコよく、ヒュー・ベリンガーやラドルファス院長、憎まれ役のロバート副院長やジェローム修道士らを演じて脇を固める俳優たちもしっかりとした演技を見せてくれます。
ただひとつ残念なのは、字幕のみでNHK放映時の吹替が併録されていないこと。
この作品に限らず、NHKの海外ドラマの翻訳台本は優れたものが多いと思いますし、もともとビデオで出ていたものをせっかくDVD化するのですから、この際フルスペックで出してほしかったですね。