ソロ活動から手を引いた(?)アルゲリッチはこれまでに、アレクサンドル・ラヴィノヴィッチ、スティーブン・ビショップ=コワセヴィッチ、ネルソン・フレイレなどと精力的にデュオを行っている。
今回のプレトニョフとは初競演になるが、これまでのパートナーと異なり、アルゲリッチを相手に引けをとらないヴィルトゥオーゾである。指揮者・作曲家でもあるプレトニョフは、今回の「シンデレラ」も自ら編曲したもので、演奏ともども見事な出来栄えと言える。
ラヴェルの「マ・メール・ロワ」は、ピアノ版では若干地味な印象もあるが、ラヴェルらしい繊細さにあふれた佳品であり、2人の演奏も、「シンデレラ」とはまた一味違った、非常に好ましいものである。