1974年作。
世界を席巻したフリードキン監督「エクソシスト」の影響顕著なイタリア製悪魔払い映画。
ややトウが立ったとは言え、アカデミー賞級の米国俳優と欧州の素晴らしい俳優陣を用い、実際の教会やコロセウムを大道具代わりにした荘厳な美術、素晴らしい映画音楽を伴い、思ったより高品質でした。
悪魔が起す超常現象の特撮こそ古びて観えますが、冒頭で描かれるトランス状態になったカソリックの信者達、悪魔祓いのシーンはお膝元だけ有って大変生々しく、観た後で妻の長く辛い出産に立ち会った後の様な脱力感と爽快感が伴いました。
カルラ・クラヴィーナ(『刑事キャレラ 10+1の追撃』)が、その硬質の美貌を惜しげも無く崩して汚れ役を熱演しています。
初老ながらまだまだ枯れていない父親役で、メル・ファーラーがダンディな姿を、晩年はイタリア映画御用達のホラー俳優になっていた米国の名助演男優アーサー・ケネディ(「アラビアのロレンス」、「ララミーから来た男」、「悪魔の墓場」「センチネル」)、同じくアリダ・ヴァッリ(「第三の男」「顔の無い目」、「サスペリア」)ヴィスコンティ作品でも有名なイタリアの中堅2枚目、ウンベルト・オルシーニもまだまだ吸引力が有りました。
悪魔につかれたイポリタ婦人が毒牙に掛ける相手の美形率が高いのも高評価に値します。
監督はホラーのみならず、マカロニ製のウェスタンから犯罪アクションまで娯楽映画に冴えをみせたアルベルト・マルティーノ。
ヴァイオリンの不協和音やパイプオルガンの音色を強調した素晴しい音楽は名匠エンニオ・モリコーネ。
DVDの画質は標準よりちょっと上位。
音声は英・伊・仏の3カ国語、字幕は日本語のみでON/OFF機能付き。
特典としてプロダクション・ノート、スタッフキャスト紹介、米国で流されたと思しきTVスポット(「The Tempter」名)30秒、そしてフォト・ギャラリーでした。