1986年に発表された、ゴー・ビトウィーンズの4枚目にあたるこのアルバムでは、それまでの作品よりも、アメリカのフォーク・ロック/ギター・バンドの影響が強く打ち出された仕上がりとなっている。どこか内にこもった感じが強かった前作までと比較して、全体的にカラリとした、風通しの良いサウンドに変化をしていったことがわかる。しかし、初期からの特長である変拍子/変則リズムの多用や、かなりな癖もある歌詞に彼らなりの「毒」みたいなものが感じられ、単なる爽やかなだけの作品にはなっていない。
この後、発表された“Tallulah”や“16 Lovers Lane”といった作品では、さらにオーボエやヴァイオリンを担当するメンバーが加入し、アレンジにそれらを取り入れながら、もっと明快で美しいメロディーのポップな路線を強く打ち出していくことになる。そちらも良いが、初期の作品に漂う、良い意味でのぎこちなさに、彼らのアメリカ音楽への想いや憧れが強く映し出され、それらが非常にいい具合にバランスをとっている、という意味において、この作品は彼らが成し得たひとつの到達点であるだろう。初めて彼らの作品を聴く、という人にはこの作品を個人的には是非おすすめしたい。