ピアソン後期(というかBN後期)は殆ど話題に上りませんが、
本盤は本当に素晴らしいアルバムだと思います。
「Say You're Mine」は、様々なアルバムで演奏されてますね。
「The Cat Walk」、「Angel Eyes」、そして本盤などなど、
やはりピアソンの中でも特別な曲だったのだと思います。
(「The Cat Walk」はバードのリーダー作ですが、
中山氏が著作でもその可能性を指摘している通り、
ピアソンがリーダーでも全くおかしく無いですよね)
で、本盤、アシッドな雰囲気の1曲目に始まり、
以降エキゾティックなサウンドが耳を惹きますが、
ピアソンならではの『リリカル過ぎず、ファンキー過ぎず、イージー過ぎず』
のバランス感覚、相変わらず光っています。
この人、この『バランス』の感覚がとてつもない、
大変な才人だと私は捉えているのですが、皆様は如何でしょうか。
私は、かねてよりバード〜ピアソンラインが本当に好きなのですが、
両者のこの『バランス感覚』に惹かれているのやも知れません。
「Tender Feelins」や「Profile」だけで語られるには、本当に勿体無いミュージシャンです。
話は本盤から離れますが、ピアソンのコンポージングに惹かれた方には、BNでは有りませんが
「Prairie Dog」を是非オススメしたいですね。
特に、「Sweet Honey Bee」辺りがストライクの方には、是非。
で、話を「The Phantom」に戻します。
ホレス・シルヴァーの「Kathy」(In Pursuit of the 27th Man」収録)や、
ハッチャーソンの「Montara」を気に入った方。
本盤の6曲目。トリを飾る「The Moana Surf」は、そんな方にとって間違い無く
鉄板の一曲です。素晴らしい曲ですよ。エキゾティックで、扇情的で、メランコリックで。
ピアソンの作曲能力の凄さを痛感する曲です。
聴いていてリラックス出来るのに、イージーでは無い。
それでいて、疲れない。
本当に優れたアルバムです。傑作「How Insensitive」と同様、
数多のBN傑作群に名を連ねても全くおかしくない傑作です。
どうぞ、お試しあれ。