2004年6月リリース。the pillows、セルフカバーアルバム『TURN BACK』
バンドの15周年を記念して、結成(1989年)から第2期(1996年)までに作られた6曲をセルフカバーしている。
初期から第2期までのthe pillowsは、現在とは大きく音楽性が異なっていた。
かなり大雑把にまとめると、オシャレでポップなサウンドを主軸としており、アッパーな感じよりメロディアスな楽曲が多かった。ボーカル山中の歌い方もかなり繊細(悪く言えば細い)で、今の骨太な歌い方とは全く異なっていた。
そんな当時の楽曲を、第3期のサウンドとテンションで改めて録音したのである。
通常のアルバムでは見かけないアレンジも多数入っているが、第3期のthe pillowsが好きなら間違いなく気に入る内容だと思う。
個人的にオススメしたいのは、以下の2曲。
「Tiny Boat」
初出は1996年1月にリリースされた5枚目のシングル表題曲。いわゆる第2期の末期に発売された。
このシングルが不振に終わったことで、the pillowsは現行の骨太なロックンロールの音楽性(第3期)に移行。直後に出たオリジナルアルバム『Please Mr.Lostman』(97年1月リリース)からの収録も漏れ、幻の楽曲になってしまった。
結果こそ出せなかったが、楽曲のクオリティ自体は非常に高く、山中自身も友人の結婚式で歌うなどかなり気に入っている様子。個人的にもかなり好きで、当時は予備知識がほとんどない状態で購入したが、この曲のおかげで大満足だったことを覚えている。
「僕らのハレー彗星」
初出は1992年5月にリリースされた2枚目のオリジナルアルバム『WHITE INCARNATION』の収録曲。
美しいメロディ。ファンタジックでピュアな歌詞。the pillowsは第3期で覚醒したイメージが強いが、山中さわおのソングライティングは初期の頃から十全に発揮されていたと感じざるを得ない初期の名曲。
再録したことによりボーカル・サウンドの迫力はより増し、セルフカバーのラストにふさわしい内容になっていると思う。