レビュー
孤高のトラック・メイカー&パフォーマーであるDJシャドウ。あらゆる音楽をサンプリングして再構築することをヒップホップと定義づける彼は、その取り入れる音楽の幅の広さ、再構築術の見事さゆえに、ジャンルを超えたファンが多い。これは彼が企画した、DJプレイと映像表現をシンクロさせるという試みに挑戦したワールド・ツアーの模様を収録した作品。自作曲のベスト・セレクション的な選曲で、VJ的な映像とのコラボレーションもさして新味はないのだが、音と映像の融合にどっぷり浸る構成が、ヒップホップというよりハウス~テクノ的であり、これはシャドウが今後進みたい方向性なのかもしれない。その一方で映像特典では、飛び入りゲストのカット・ケミストとのセッションなど、ヒップホップならではの名人芸も拝める。シャドウ自身のリラックスしたMCも、長丁場の程良いアクセントになっていて楽しい。 (鷺沼晶良) --- 2004年09月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)