その昔,アメリカ西海岸はロングビーチに伝説の3人組がいたそうな。一人はDJ,一人はラッパー,一人はシンガー。音楽と言霊を自在に操る類まれな才能を持った彼らは,やがて別々の道を歩み大成するも,10数年の時を経てまた一堂に会した・・・ってな前置きはさておき,夢のようなグループが再結成された。ロングビーチのかつてのエリアコードをそのままグループ名にした213は,ウォーレンGにスヌープ・ドッグ,ネイト・ドッグというHip-Hop界の重鎮による超大型グループだ。
アルバムも実にゆる~くてウェッサ~イな魅力に溢れている。メロウで郷愁を誘うイントロに始まり,ミステリアスな女性の笑い声をフューチャーした「Twist Yo Body」,ゴワゴワとうねるベースラインにスティーリー・ダンのメロウな「Black Cow」をサンプリングした「Keep It Gangsta」,ジャズファンク調のミステリアスな「Run On Up」と個性的で魅力的な曲が続く。
極めつけは,「これぞGファンク」的なメロウで郷愁漂う「Lonely Girl」にエディ・ケンドリックスの「Intimate Friends」を大ネタ使いした白昼夢のような「Another Summer」。いずれもネイト・ドッグのディープなヴォーカルが映える。そして,エモーションズの「Rejoice」を大ネタ使いした「Gotta Find A Way」。こちらもネイトの好演が光るメロウで爽やかささえ感じさせるキャッチーなナンバーだが,ここでは何とあのLil 1/2 Deadがプロデュースに加わっている!
美しくも哀しいピアノの旋律がかえって不気味な「My Dirty Ho」,「孤高」というイメージが似合う淡々とした「MLK」もいい。
ギャング姿が恐ろしいほどハマッている中ジャケ写真はともかく,Hip-Hopファンならずとも必聴の傑作である。