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市川崑監督が、敬愛する小津安二郎監督の名作『晩春』のリメイクに挑戦。TVドラマではあるが、美術、照明、撮影、音楽ともども劇場用映画なみの取り組みをした意欲作。
早くに妻を亡くした雨宮(長塚京三)は、娘の規子(鈴木京香)とふたり暮らし。婚期を逃しつつある規子を心配した雨宮は縁談を進めるが、娘は父親のことが心配だと、気乗りしない。
小津監督独自のローアングル撮影やセリフ回しなどを、市川監督は誠実に踏襲しているのだが、市川監督の茶目っ気のある演出にかかると、パロディのように見えて苦笑してしまう。『晩春』では原節子が演じた規子役には鈴木京香が扮しており、その容貌といい所作といい、日本家屋にマッチした美しさには息をのむ。規子の友人であるバツイチ女・綾(緒川たまき)の、父娘を見つめる微妙な視線と、その鮮やかな決着に、またしても茶目っ気たっぷりの崑タッチを感じてしまう。(斉藤守彦)
レビュー
統括プロデューサー: 青木泰憲 プロデューサー: 松橋真三/鶴間和夫 監督: 市川崑 原作: 廣津和郎 脚本: 小津安二郎/野田高梧 撮影: 五十畑幸勇 潤色: 久里子亨 美術: 桜井佳代 照明: 斎藤薫 録音: 浦田和治 音楽: 谷川賢作 出演: 鈴木京香/長塚京三/仲村トオル/緒川たまき/藤村志保
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)