70年代オランダを代表するロックグループの一つ、アース&ファイヤー。女性ボーカルを前面に出しつつ、サイケをベースにプログレバンドへと変容していったバンドです(ちなみに後期はプログレ感ほぼ無なバンドに変貌)。
本作は1970年発表のデビュー作ということで、次作以降に大きくフューチャーされるメロトロンやオルガン等の鍵盤はあまり入っておらず(オルガンは曲により軽く入っていますが)、サイケ色が強めの発展途上的な作品となっています。ただ、彼らの魅力の一つであるどこかポップで哀感あるメロディーは既にそこかしこに顔を出しています。
サイケでギターがヘビーな面もありつつサビなどはメロディアスでポップな①「(She Is) Wild And Exciting」、
同様にファズギターの音はヘビーですが、ポップでメロディアスな感触のサイケロック③「Ruby Is The One」、
エコー深めの多重コーラスと少し入るオルガンがほのかにプログレっぽい、メロディアスなブリティッシュビートロック風の④、もろなサイケロックなれどオルガンが静かになる中間部が次作以降のシンフォ感を予兆させる⑤、中間部では唐突に牧歌的なフルートも入る妙な構成のポップなサイケロック⑥、
彼らの最初のヒットシングルとなった⑦「Seasons」は男性ボーカルと女性ボーカルの絡みを活かした哀感あるメロディアスなサイケロック。
薄く入るオルガンと7分半に及ぶ凝った構成に次作以降のプログレ要素が垣間見える、躍動感あるユーロロック⑧「Love Quiver」、
フルートの鳴るアコースティックで叙情的な男性ボーカルの⑨などを収録。
独特のポップな哀感が既に表出したサイケな感触のデビュー作です。
2004年の再発盤は、ロジャー・ディーンのギミック・ジャケットを再現した紙ジャク仕様でボーナス2曲収録。
ボーナス2曲はシングルB面に収録されていた、なんてことないサイケロック。