今から15年ほど昔の話。
当時、大学生だった僕はベニー・グリーンにはまっており、このアルバムに出会った。(もちろん中古レコード屋で中古LPを入手)
だけど当時あまりというよりも一回聴いたきりだった。
なぜなら、このレコードの音が悪かったからだ。
具体的に説明すると、ご丁寧に楽器ごとに右・左のスピーカーに音を分けているのだ。
今では考えられないことだが、ステレオ録音導入時にはよくあること。
当然、グリーンの右側だけから聴こえてくる音はどこか遠くから鳴っている感じでいわゆるステレオの特徴である、
音が空中にポッカリと浮遊するような定位はまったく感じられなかった。
さて今回のオリジナル・レコーディング・リマスタードでは改善されたのか?
答えは「改善されていない」、その理由は「オリジナル・マスター・テープが2チャンネルだから」。
つまりマスター・テープが2チャンネルでそのテープにしっかりと楽器が分離されて録音されてしまっている。
これじゃー擬似ステレオに人工的に加工しない限り「ステレオ」にはならない。
でも、内容はソニー・クラークのクール・ストラッティンの別バージョンが聴けるだけでも楽しめる。
グリーンのプレイも悪くない。それだけに録音の悪さがくやしまれる。最初の録音が悪かったら、どうにも音質向上はできないんだよね。