リスト演奏のひとつの頂点と言えるかも知れない名演。
比較的少ないレパートリーを完璧なまでに究めようと志向する人だった
ようで、その洗練された打鍵、豊かな響きから浮かぶ言葉は「端正」。
練習を最期まで怠らず精進し続けたという、その音楽への姿勢みたいな
ものが垣間見れる気がする。
決して技巧に頼るのではなく、自らの表現を極める為に技術を磨くこと
そんな当たり前のことがどれだけ大切なことか改めて考えさせられる。
ヴァンガード名盤選シリーズの中でもピアノでは白眉の一枚ではないだろうか。
因みにヴァンガードと言えば、ブレンデルやクラウスらの名演を集めて
輸入盤でもソロピアノシリーズが出ていて(水色の楽譜のジャケに
"玄人好みの"のロゴが小さい黒地のシールに黄色で書かれている)
そちらもそれぞれになかなかのお薦め。
モーツァルト、シューベルト、ショパン、ベートーベンにこのリストなどが出ている。
(実はこの日本盤もリストの盤の2枚組の1枚で収録されている。)
価格的には解説付でこの値段の日本盤に軍配が挙がるかも知れないが。