2年間の隠遁生活の後、発表された初ソロ・アルバム。
サイド・プロジェクトのレンタルズ活動中に
ウィーザーをクビになるという屈辱を味わい、
現在も係争中らしい。
ここで聴けるサウンドは
ウィーザーのようなギター・ポップでも
レンタルズのようなキッチュなニューウェイヴでもない。
つぶやくようなヴォーカルと
アコギ主体のアコースティックな音の
スロウ・コアともいえそうな渋いサウンド。
しかし、ゆったり流れる時間を愛でるようなやすらぎと
包み込むような優しさに満ちていて
素晴らしい。
TVのない、平原に囲まれた農家での
2年間の隠遁生活のなかで
自分自身と向き合ったのだろうか。
音の質感がすごく穏やかなのだ。
シンプルに贅肉を削ぎ落とした
セルフ・タイトルの今作、
「ぼくはここにいるよ」という存在証明であるとともに
ミュージシャンとしての決意表明なのかもしれない。