実に溌剌として魅力的な演奏だ。
名ギタリスト天野清継の最新作はトリオ編成で往年のジャズ・スタンダード名曲を中心に楽しませてくれる内容。
今や中堅と云える彼が若手のリズムサポートを得て伸び伸びとジャズ・ナンバーをスウィングしている。アレンジも全曲天野自身によるもの。
フュージョン系ギタリストのイメージが先行する天野だが、実はこう云ったジャジイな演奏でもその実力を如何なく発揮する。
曲によって使い分けられるエレアコとガットギター。
どのパッセージも魅力的で、一音一音の粒立ちが素晴らしく彼の実力をまざまざと見せ付けられた思いだ。
若手の中でも中堅で幅広く活躍中の吉岡大輔(Ds)鳥越啓介(B)の実力も非常に手堅く、格の違いがあるとは云えこれはもはや現代の和製ポール・ウィナーズの趣十分。
夜の帳が降りた後、部屋の灯を幾分落しグラスを片手に楽しみたい大人のサウンド。
特に05.Sesame street themeや08.Puffそして10.Both sides, now等に天野のアレンジ・センスが夜空のキラ星の如く光る。
全編ユニット名のThe Silent Jazz Trioが表す通りのお洒落な演奏が満喫出来る。
Jazz入門用としてもお奨め出来る一枚だ。