ソロデビュー10周年を迎える奥田民生が、『E』から2年ぶりのオリジナルフルアルバムをリリース。ニューヨークでレコーディングされた作品を中心にしつつ、シングル「サウンド・オブ・ミュージック」「スカイウォーカー」「何と言う」を収録した待望の力作。
ソロ当初からのパートナー、チャーリー・ドレイトンらとのアンサンブルが確実に血肉化してることの証明ではあるのだが、もう1曲めの第1音から破格である。キース・リチャーズが歯がみしそうな音とでも言おうか。そしてもちろん、民生の「目的」とするところはそこではない。もはや俳句的な域に達した、必要最低限にして洒脱な歌詞。それは、言いたいことではなく、飽くまで音楽として「歌いたいこと」だ。その言葉と音が互いに求め合った結実である10周年アルバムとなった。
そう、やはり民生はアルバムでこそ真価を発揮する。似たようなマイペースなシングルばかり連発して…なんて、ちょっと舐めにかかっているワカモノたちよ、急かずに聴いてみることをオススメする。30代後半。不惑にはちょっと遠く、しかし名状しがたい優しさと覚悟が、男も女も惚れさせる。(石角友香)
2004年時、ソロ・デビュー10周年を迎えた奥田民生の2年振りオリジナル・フル・アルバム。KDDI『PLAY MUSIC PLAY au!』キャンペーン・ソング「何と言う」、「スカイウォーカー」「ライオンはトラより美しい」他を収録。 (C)RS