短いカット、畳み掛けるような台詞の掛け合い。物語は超高速で進行する。
しかし、セリフに無駄がなく、単純な物語構造も相まって、内容には十分ついていける。
むしろ、テンポよく進むストーリーは小気味良い。退屈さを感じさせない。
役者の好演も目を引く。
主演のニコール・キッドマンは、高い社会的地位を手にしたバリバリのキャリアウーマン。
だが、ジェンダーレスのカリカチュア(男性化したマッチョなエリート女)には堕してはいない。十分に人間的で、観客が感情移入できるキャラクターとなっている。
脇役も悪くない。
凡庸だが性根の優しい夫、馬鹿な男、機知に富んだ女性、差別的でない程度に戯画化されたゲイ。
また、尺を90分と短くしたのも賢明だったと思う。
性差別(とそれに関する物語上の秘密)のワンイシューだけで2時間引っ張るのは無理がある。
もし、尺稼ぎをして2時間映画に仕立てたら、観客は飽いてしまうに違いない。
ところで、本作のテーマが女性蔑視のワンイシューだと書いてしまったが、本当は違う。
念仏のようにジェンダーフリーを唱える、イデオロギッシュな作品と観る者に思わせつつ、最後にハリウッド的どんでん返しがある。
ここには書かないよ。観てね。