●ウォルター・ジョン・ウィリアムズ「パパの楽園」
電脳世界の中での主人公の物語なのだが、何故か電脳世界を構築したダメ男の存在感が強く印象に残る。
●ラメズ・ナム「水」
デジタルメディアが直接精神に影響を及ぼす事すら有り得る社会を描く一種のディストピアもの。
●キース・ブルック「戦争3.01」
人々は気付かないものの、実は戦争が発生しており、人々はネットでのみ発生と収束を知る。
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S-Fマガジン 2014年 11月号 [雑誌] 雑誌 – 2014/9/25
商品の説明
この雑誌について
日本唯一の月刊SF専門誌
登録情報
- ASIN : B0002YLM1U
- 出版社 : 早川書房; 月刊版 (2014/9/25)
- 発売日 : 2014/9/25
- Amazon 売れ筋ランキング: - 3,901位文芸・総合の雑誌
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年10月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『30年目のサイバーパンク』だって? それではサイバーパンクはあれから(『ニューロマンサー』刊行から)、まるで「30年間」続いてきたかのようではないか。わざわざB・スターリングが「サイバーパンク終結宣言」した意味なんてないかのよう。
まあ、確かに過去にSFマガジン1999年6月号で『サイバーパンクの90年代的展開』という特集を組んだこともある。だが、そこではサイバーパンク小説が掲載されているというよりも、「ポスト・サイバーパンク」の作品が掲載されてあった、なんていったって「90年代的展開」なのだから。
さて、この11月号を読んで、作品の質自体は悪くない、いや平均点を超えている。だが、あのサイバーパンク真っ盛りの80年代にそもそも、W・ギブスンから「ガジェットやら何やらをただサイバーパンクから借り受けただけの…」として非難されていた”ウォルター・ジョン・ウィリアムズ”の作品が冒頭から掲載されているとあっては、ただただ違和感を感じる。
だから『30年目のサイバーパンク』じゃないでしょ…! サイバーパンクという一つの潮流が過ぎ、ポスト・サイバーパンク(ポストモダンと言う時の「ポスト」)の言わば、ディアスポラ的散逸があった。で、現在は、というとW・ギブスンもB・スターリングも作品を書き続けている。だから「サイバーパンク」という言葉は修辞学的旗印としてしか機能してないのでは?
Cワードの名の下にギブスンの『ヴァーチャル・ライト』が『ニンジャスレイヤー』と同じ平面で扱われることは許されるのか(確かに『ニンジャスレイヤー』も面白いし、十分笑えるが)。
「Cワード/サイバーパンク」というものにいたくジャック・インして青春時代を過ごした私は、この度のSFマガジン11月号の特集「30年目のサイバーパンク」なるものに、実は「約30年前の本当のサイバーパンク」として今まで意外にも訳されていない作品が編訳されて__つまり考古学的編集翻訳、そして当時の軽い紹介がコンビニ弁当を温めるがごとく特集に組まれていたら、どれほどそれを喜んだだろうか。
だから何も「SFマガジン」という枠組みを必ずしも要るわけじゃないんだが、上に述べたごとく新未来への懐古的「サイバーパンク作品集」が新たに出版されてほしいと強く願うのである。
ここまで長々とアウトプットしてきたが、もう少しつきあってもらいたい。きっとあなたにも必要なものかもしれない。
いや〜、どうしても翻訳していただきたいあるCワード80年代短編がある。
その1 ジェイムズ・パトリック・ケリーの「サイバーパンク三部作」うち一編。一編はB・スターリング編の『ミラーシェード』(サイバーパンク・アンソロジー)に所収の「夏至祭」、もう一編はSFマガジン87年二月号所収の「ラット」。本当に残念ながら邦訳はこの二編だけ。するとどうしても気になるのが最後の一編、誰かが「ション城の虜」と呼んでいた。是非、「サイバーパンク三部作」とケリー自身名付けた短編最後の一編を翻訳していただきたい。(※パトリック・ケリーは本来は“文学派”。 しかし詳しくはスターリング編の『ミラーシェード』を)
その2 アメリカで活躍しているパット・キャディガンもまず長編が翻訳されていない。短編も結構書いているはずで、きっと長編より短編を得意とする作家なんだろう。翻訳されている短編は6、7編程度か。埋もれている傑作なんかが実はあるのではないか。
その3 サイバーパンク党書記長ブルース・スターリングにも初期の短編集「クリスタルエクスプレス」から翻訳されていないものが結構ありそうだ。彼の短編に愚作はない、と少なくとも私はそう思う。
その4 B・スターリングを出すのだから、この人にも登場を願おう。ウィリアム・ギブスンだ。ギブスンはそれはそれは長編の執筆にお忙しく、短編は非常に少ない。そのほとんどが『クローム襲撃』に収録されている。なのでここでもちょっと趣向を変えて…… ギブスンはかつてかの有名な映画『エイリアン3』のために脚本を執筆したが使用されず自らネット上に公開した。ギブスン対ギーガー(監督はデヴィッド・フィンチャー)、これは実に興味をそそられる。ネット上で見られるというが、英語がろくに出来ない私としては、全文は無理だとしても中編ぐらいの長さでまとめていただけると大変あり嬉しい。是非と願うところである。
その5 ラストはポール・ディ=フィリポの短編を何とか! 非常に寡作な作家だが、発表されている作品はどれも面白い。だが、佳作とはいえ私の知る限り、何と5編しか翻訳されていない!!!(誰か他に翻訳されているものがあったら教えてください) しかも全てが所謂「サイバーパンク」というわけでもない。スターリング編『ミラーシェード』に所収の「ストーン万歳」のような泥臭くエキセントリックな如何にも「サイバーパンク」な短編を翻訳していただきたい。
以上私が考える懐古的考古学的翻訳編集作品としてまだまだ出てくるだろう。ここまでレビュー読んでくださった方々とならば、もっともっと作品をリストアップしていけるのではないか。そしてその勢いでSFマガジンの特集を作れることを願ってます。
私だけじゃない。本当に今回のSFマガジン11月号の特集「30年目のサイバーパンク」に少しでも違和感を抱いたかた、特集でもいいし、アンソロジーでもいい、「あの頃の懐かしき日のサイバーパンク」が近い未来に実現することを願おうじゃありませんか。
まあ、確かに過去にSFマガジン1999年6月号で『サイバーパンクの90年代的展開』という特集を組んだこともある。だが、そこではサイバーパンク小説が掲載されているというよりも、「ポスト・サイバーパンク」の作品が掲載されてあった、なんていったって「90年代的展開」なのだから。
さて、この11月号を読んで、作品の質自体は悪くない、いや平均点を超えている。だが、あのサイバーパンク真っ盛りの80年代にそもそも、W・ギブスンから「ガジェットやら何やらをただサイバーパンクから借り受けただけの…」として非難されていた”ウォルター・ジョン・ウィリアムズ”の作品が冒頭から掲載されているとあっては、ただただ違和感を感じる。
だから『30年目のサイバーパンク』じゃないでしょ…! サイバーパンクという一つの潮流が過ぎ、ポスト・サイバーパンク(ポストモダンと言う時の「ポスト」)の言わば、ディアスポラ的散逸があった。で、現在は、というとW・ギブスンもB・スターリングも作品を書き続けている。だから「サイバーパンク」という言葉は修辞学的旗印としてしか機能してないのでは?
Cワードの名の下にギブスンの『ヴァーチャル・ライト』が『ニンジャスレイヤー』と同じ平面で扱われることは許されるのか(確かに『ニンジャスレイヤー』も面白いし、十分笑えるが)。
「Cワード/サイバーパンク」というものにいたくジャック・インして青春時代を過ごした私は、この度のSFマガジン11月号の特集「30年目のサイバーパンク」なるものに、実は「約30年前の本当のサイバーパンク」として今まで意外にも訳されていない作品が編訳されて__つまり考古学的編集翻訳、そして当時の軽い紹介がコンビニ弁当を温めるがごとく特集に組まれていたら、どれほどそれを喜んだだろうか。
だから何も「SFマガジン」という枠組みを必ずしも要るわけじゃないんだが、上に述べたごとく新未来への懐古的「サイバーパンク作品集」が新たに出版されてほしいと強く願うのである。
ここまで長々とアウトプットしてきたが、もう少しつきあってもらいたい。きっとあなたにも必要なものかもしれない。
いや〜、どうしても翻訳していただきたいあるCワード80年代短編がある。
その1 ジェイムズ・パトリック・ケリーの「サイバーパンク三部作」うち一編。一編はB・スターリング編の『ミラーシェード』(サイバーパンク・アンソロジー)に所収の「夏至祭」、もう一編はSFマガジン87年二月号所収の「ラット」。本当に残念ながら邦訳はこの二編だけ。するとどうしても気になるのが最後の一編、誰かが「ション城の虜」と呼んでいた。是非、「サイバーパンク三部作」とケリー自身名付けた短編最後の一編を翻訳していただきたい。(※パトリック・ケリーは本来は“文学派”。 しかし詳しくはスターリング編の『ミラーシェード』を)
その2 アメリカで活躍しているパット・キャディガンもまず長編が翻訳されていない。短編も結構書いているはずで、きっと長編より短編を得意とする作家なんだろう。翻訳されている短編は6、7編程度か。埋もれている傑作なんかが実はあるのではないか。
その3 サイバーパンク党書記長ブルース・スターリングにも初期の短編集「クリスタルエクスプレス」から翻訳されていないものが結構ありそうだ。彼の短編に愚作はない、と少なくとも私はそう思う。
その4 B・スターリングを出すのだから、この人にも登場を願おう。ウィリアム・ギブスンだ。ギブスンはそれはそれは長編の執筆にお忙しく、短編は非常に少ない。そのほとんどが『クローム襲撃』に収録されている。なのでここでもちょっと趣向を変えて…… ギブスンはかつてかの有名な映画『エイリアン3』のために脚本を執筆したが使用されず自らネット上に公開した。ギブスン対ギーガー(監督はデヴィッド・フィンチャー)、これは実に興味をそそられる。ネット上で見られるというが、英語がろくに出来ない私としては、全文は無理だとしても中編ぐらいの長さでまとめていただけると大変あり嬉しい。是非と願うところである。
その5 ラストはポール・ディ=フィリポの短編を何とか! 非常に寡作な作家だが、発表されている作品はどれも面白い。だが、佳作とはいえ私の知る限り、何と5編しか翻訳されていない!!!(誰か他に翻訳されているものがあったら教えてください) しかも全てが所謂「サイバーパンク」というわけでもない。スターリング編『ミラーシェード』に所収の「ストーン万歳」のような泥臭くエキセントリックな如何にも「サイバーパンク」な短編を翻訳していただきたい。
以上私が考える懐古的考古学的翻訳編集作品としてまだまだ出てくるだろう。ここまでレビュー読んでくださった方々とならば、もっともっと作品をリストアップしていけるのではないか。そしてその勢いでSFマガジンの特集を作れることを願ってます。
私だけじゃない。本当に今回のSFマガジン11月号の特集「30年目のサイバーパンク」に少しでも違和感を抱いたかた、特集でもいいし、アンソロジーでもいい、「あの頃の懐かしき日のサイバーパンク」が近い未来に実現することを願おうじゃありませんか。
2014年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
S-Fマガジン 2014年 11月号 [雑誌] 2014/9/25 早川書房 月刊版 ASIN:B0002YLM1U 20.8 x 14.6 x 1.6 cm
特集・30年目のサイバーパンク
「パパの楽園」ウォルター・ジョン・ウイリアムズ/酒井昭伸訳
御伽の国に暮らす幼いジェイミーだったが、やがてその世界の存在理由と、それを仕掛けた張本人が自分のパパであることを知ってしまう。あらら、ジョン・ウイリアムズって、こんなに上手い作家だったっけ、という印象。話の怖さが素晴らしい。
「水」ラメズ・ナム/中原尚哉訳
一般普及型のインプラント(高性能のスマホが脳内に埋め込まれたイメージ)は低価格だが、代わりに各種のドーパミン刺激広告(たとえば嫌でも水が飲みたくなるような)を強要されるのだった。いずれ誰かが書いたのだろうが、時代の通過儀礼的価値を感じる。
「戦争3.01」キース・ブルック/鳴庭真人訳
ある日唐突に戦争が始まり、瞬時に終わる。敵はすべての電脳情報を制圧したと宣言する。だが……。ごく短い作品なのにジョークがあってしかも綺麗な二段落ちと来て参った。さらにアリソーと思わせる設定がが憎い。
第2回ハヤカワSFコンテスト受賞作決定!
おめでとうございます。
【読切】「絞首台の黙示録〈第6回〉」神林長平
邨江清の記憶を持つ方の工が執行前に会話した教誨師が現実にいることがわかり、二人は連れ立って東京/杉並区に向かう。あれ、二人の工は同じ顔をしているはずなのに今回の終末部では教誨師の反応が?
特集・30年目のサイバーパンク
「パパの楽園」ウォルター・ジョン・ウイリアムズ/酒井昭伸訳
御伽の国に暮らす幼いジェイミーだったが、やがてその世界の存在理由と、それを仕掛けた張本人が自分のパパであることを知ってしまう。あらら、ジョン・ウイリアムズって、こんなに上手い作家だったっけ、という印象。話の怖さが素晴らしい。
「水」ラメズ・ナム/中原尚哉訳
一般普及型のインプラント(高性能のスマホが脳内に埋め込まれたイメージ)は低価格だが、代わりに各種のドーパミン刺激広告(たとえば嫌でも水が飲みたくなるような)を強要されるのだった。いずれ誰かが書いたのだろうが、時代の通過儀礼的価値を感じる。
「戦争3.01」キース・ブルック/鳴庭真人訳
ある日唐突に戦争が始まり、瞬時に終わる。敵はすべての電脳情報を制圧したと宣言する。だが……。ごく短い作品なのにジョークがあってしかも綺麗な二段落ちと来て参った。さらにアリソーと思わせる設定がが憎い。
第2回ハヤカワSFコンテスト受賞作決定!
おめでとうございます。
【読切】「絞首台の黙示録〈第6回〉」神林長平
邨江清の記憶を持つ方の工が執行前に会話した教誨師が現実にいることがわかり、二人は連れ立って東京/杉並区に向かう。あれ、二人の工は同じ顔をしているはずなのに今回の終末部では教誨師の反応が?