のだめ、特にドラマ版ではタイトルテーマにも効果的に使われ、一躍有名になった「7番」ですが、この5番(俗に「うんめい」って言われてるけど)もあわせて、2曲とも、
作曲家ベートーヴェンとしての仕事盛りの得意技が炸裂している曲です。
リズムを効果的に組み立てながら、口ずさめるようなメロディを生み出し、またそれらを組み合わせながら、大爆発!!にいたるようなドラマ(途中、悲喜交々多数!ありながら、最後には興奮のるつぼの中、盛り上がって終わる!)という、エンターテイメントの「技」が発揮されまくった曲です。(冒頭のジャジャジャジャーンだけが有名になったので"こっぱずかしい"けど)
このベーム盤は、5番はモノラルなので、音質はワリと良いとはいえ、初めて「運命」を買う方は、まず有名指揮者&オケのステレオ盤から入るのがオススメです。
7番はステレオ録音。演奏は、ベタベタしない、また大げさにテンポを動かして、大ウケを狙わない、きっちりとリズムを刻み込んで、迫力と興奮を生み出す、といったもの。
有名な名盤である、カルロス・クライバーが振った盤は、逆に、フレーズの中でも微妙にテンポを伸び縮みさせて、加速感やドラマ感(オペラのよう?)をつけまくってもりあげるもの。
どちらもオススメですが、まず、ベーム盤聴いて曲になじんでから、クライバー盤聴くと、両者の面白さが一層感じられるかも。なお、ベームといえば、晩年は、とてもゆっくり演奏した人として知られていますが、ここでのベームは運動神経抜群!といった感じです。
既に60歳にはなっていたはずですが、この頃の演奏は「壮年」のスキの無い、かつエネルギッシュな演奏を聴くことができます。
なお、音質は、僕は良い方だと思いますけども、初めて「運命」を聴こうとされる方は、まずもっと新しい録音を入手されたほうがよいかもしれません。というのが、このCD、7番はステレオですが、「5番(運命)」はモノラルですので。とはいえ、一聴の価値はある演奏だと思います。