Amazonより
北穂高山麓を登るパーティのひとりである大学助教授・滝川(小沢栄太郎)が墜落死。そのザイルを切ったのは妻の彩子(若尾文子)。同じくザイルに繋がれていた彼女の愛人・幸田(河口浩)の命を救うためであった。やがて殺意の有無を問う裁判が始まるが、その中で彩子は…。
丸山雅也の『遭難・ある夫婦の場合』を原作に、名匠・増村保造監督と主演・若尾文子の名コンビが贈る壮絶なるヒロイン映画。裁判の進行とともに彼女の過去が描出されていき、そこから日本的呪縛の世界から解き放れようとするひとりの女の愛と性が鮮烈に映し出されていく。このコンビによる最高傑作との声も高く、またここでの若尾のぞっとするような情念のこもった美しい佇まいは、何はなくとも必見である。(的田也寸志)
レビュー
少し前に増村保造の一大回顧上映特集があったが、あれは結果として若尾文子という女優の再評価にもつながったと思う。全盛期の大映を代表するスター、若尾文子の主演作品3作品がDVD化。竹細工職人と結婚した芸者が、夫婦の肉欲の温度差に苦しむという吉村公三郎監督『越前竹人形』はかなりレア。増村保造の傑作『妻は告白する』では夫殺しの未亡人、『赤い天使』では最前線の従軍看護士と、演じている役はかなりバラバラながら、アブノーマルな状況下で品の良さが際立つクール・ビューティ、という点では揺るぎない。ルイス・ブニュエル映画におけるカトリーヌ・ドヌーヴのようなものか。フランスで若尾文子特集上映会が組まれたりすることも、そう考えると納得のいく話。最近ではナレーション仕事も多い若尾さん、映像特典ではおっとりとした口調で当時の撮影状況などが聞ける。まだまだ傑作はある。この際どんどんDVD化してほしい。 (鷺沼晶良) --- 2005年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
監督: 増村保造 出演: 若尾文子
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)