「インド出身のパヴァン・グローヴァー」主演・脚本・製作総指揮。新進気鋭と言われても見たことも聞いたこともない人物だった。しかしデニス・ホッパーと臆することもなく渡り合うシーンを見ると貫禄さえ感じられた。デニス・ホッパーが彼との出演を決めたくらいなのだからただの新人ではあるまい。
作品自体には冤罪や死刑制度を云々するようなメッセージ性はないものの、中身が空っぽかというとそうでもない。つじつまは合うようで合わない不思議な作品。小気味悪さも楽しめた。殺人鬼モワットへの興味と、彼と美人精神分析医の関係への興味、そして何より「グローヴァー本人への興味」から目が離せなくて一気に見た。
対抗する気はなかったと思うが「アンブレイカブル」を完全に意識したパッケージ。しかしあちらの方が明らかに格上。しかし作品の好き嫌いは格とは別物。この作品の独特の雰囲気が私は好き。