メディア掲載レビューほか
あきらめ、せつなさ、やるせなさ。そういった哀しみの果てから届く音楽は、独特の美しさを孕みながら僕らの感情に直接響きわたる。97年に『覚醒』でデビューしたGRAPEVINEも哀しみから生まれたバンドだが、デビュー作以来のミニ・アルバムである本作には、剥き出しにされたマイナス感情が渦巻いている。焦燥感に煽られるがまま鳴らされていたギターの音色は気だるさを帯び、亀井の十八番であるバラード曲(3)はメロディの醸し出す哀愁に引き摺られながら、ループするごとに重みと疲労感を加えていく。排出することが目的だったように故意に聴き取りづらく歌われていた田中の言葉も、太宰治から引用しつつ自叙伝的な香りを漂わせる(5)では、現状を受け入れた自らの変化を穏やかに語る告白文として耳に残る。(1)から連想せずにいられないのは、巨大な虫に変身しても無自覚ゆえに息絶えた青年だが、GRAPEVINEの音像からゆらり立ち上る自覚は、彼らの新たな覚醒の兆しを仄めかしている。 (周東香里) --- 2004年12月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
グレイプバインの5曲入りのミニ・アルバム。独特な焦燥感と躍動感が漂うメロディックな楽曲はどれも完成度が高く、初回限定盤には2004年4月に東京ベイNKホールで行なわれたライヴ映像などを収録した10曲、約60分のDVDが付属している。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)