すごくいいです。
声も。声を含めたそのサウンドも。
極上のシティ・ポップス(表現が旧いですが敢えてこう表現したくなる)です。
さらにアコースティックなジャズ風味が良い方向にプラスされて、音楽にマジックが起きてます。
サウンド・プロデュースは松木恒秀。
初期の山下達郎の傑作アルバム群のギタリストでした。
この人、70年代~80年代の日本のポップス史にとって重要な人らしく、自分の持ってるアルバムのクレジットを見てみたら出てくる出てくるこの名前。山下達郎、竹内まりや、吉田美奈子、大貫妙子、佐藤奈々子、当山ひとみ・・・
作詞・作曲は⑩と⑥の詞を除いて全曲高田みち子自身によるもの。
彼女のソングライティングも見事です。少しだけ曲の説明をします。
①は新主流派のようなベースとピアノで始まるジャジーなポップス。うん、なかなかいい。
そして早くも②で昇天してしまいます(笑)。
70年代後半のポップス好きのツボ&涙腺押しまくりの極上ポップス。
どうしてこんなアコースティック・ギターのリズム・カッティングが思いつくんでしょうか。単純なアレンジですがセンス抜群です。
メロディーラインもウィンディーでスムースで「chocorate」のフレーズも一度聴くと忘れられない一粒で何度も美味しいメロディー。
途中でフルートのソロがありますがこれは彼女が吹いてるんでしょうか。
③こそ大傑作の曲。重なる音の一つ一つが雨をイメージさせる高級素材。雨の匂いがするアルペジオ、シンプルなベース・ライン、やさしいキーボード、雨音のようなリムショット。
そして彼女の雨のような液体的な声。美しい雨が歌う声。
サビの「雨、雨、雨のせいだね。いつまでも僕の胸を締め付ける」
奇跡のメロディーを雨音のようなサウンドが包んでマジックが起きてます。
④は彼女のシンガーソングライターの実力がわかる、個性的なメロディーと歌詞だけで聴かせてしまうような曲。
⑤のジャジーなバラッドを聴いていて、吉田美奈子の一時期のサウンドを連想しました。もしやと思い、「モノクローム」(80)と「ライトゥン・アップ」(82)を引っ張り出してクレジットを見てみると、メンバーは松木恒秀(g)、岡沢 章(b)、渡嘉敷祐一(ds)。このCDの演奏陣と同じです。
⑥は英語で歌うブラック・コンテンポラリー・AOR風。作詞はAndrea Martinですが黒人女性シンガーソングライターで自身も98年にアルバムを出してたあの人でしょうか。
⑦は少し遊び心のある曲。松木のギターはスティーヴ・クロッパーのよう。
⑧は聴くほどに味が出てくるようなタイプの名曲だと思います。表現力が素晴らしい。ギターはここではデヴィッド・T・ウォーカーのよう。
⑨も味わい深い秀作。メロディーと歌詞にEPOを連想しました。
⑩はお馴染みスモーキー・ロビンソン&ミラクルズのカヴァー。
⑪はシンガーソングライターとしてのスケールの大きさを感じさせるピアノだけをバックにした雄大で感動的な曲。
キャロル・キングのようだ。