音楽を聴いて感情移入することは多いが、涙を流すくらい感動する曲は少ない。私も数十年の人生の中で感動して泣いた曲は2曲だけ。映画ロッキーのテーマとU2の「Pride(in the name of love)」だ。 ロッキーのテーマを聴くと、アドレナリンが溢れてくるようにパワーを感じる。ロッキーの闘争心、ダウンしても何度立ち上がるあのシーンがオーバーラップするからだろう。U2のPrideを聴くと、迫害に立ち向かう本当の勇気に感銘して涙が溢れてくる。実在の人物、キング牧師の暗殺の歌だからだろう。 つまり、どちらの曲にも基本となるビジュアルが存在する。ロッキーは映画という映像、Prideはキング牧師という実在した人物像。それがその曲への感情移入を増幅させている。 しかし、野孤禅の「ぐるぐる」という曲は、その基本となるビジュアルが全くないまま、その歌詞と曲だけで泣けたのだ。私が歳をとり涙もろくなったからとも言えるが、U2と共通する魂、パワーのようなものを曲から感じたのも事実だ。 メジャーになろうが、今までのアルバムと違うというファンがいようが、自分たちの思った曲創りをこれからも続けて欲しい。メージャーになることが悪いこととは私には思えない。その分だけ認知度も上がり、野孤禅に感動する人が十倍、百倍と増えるのだ。より多くの人たちを感動させることがアーティストの目的だと私は思う。中年の私を感動させてくれたように。 野孤禅のお二人、これからもすばらしい曲を提供してください。