最初に遺作を持ってくるところが既に異色。また、曲間を充分空けているのがこのCDのよいところ。そして演奏は、バッハのように内面の溢れる創造性をうまく抑えながらバロックの「型」に昇華させた例とは異なり、ここでは彼女は比較的自由奔放にその感性を音として表出している。それは時には「夜想曲」という言葉の持つイメージを超え、時には歯切れ良く、時には畳み掛ける様に激しさを持って聞き手に迫る。夜寝る前のひとときを、気持ちを安らかにして・・と期待して聴くと、逆に目が冴えてしまうかもしれない。
ある種彼女がピアノで表現したかった事、それが許されるのがショパンということなのか。とにかく1曲1曲新しい発見があり、新鮮な驚きを与えてくれる。13番などは特にドラマチックでさえあり秀逸。こうなったらフォーレにも是非挑戦してもらいたい。